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2013年10月31日(木)

米NSAの盗聴

欧米関係は「氷河期」に

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 【パリ=浅田信幸】米国家安全保障局(NSA)による欧州への大規模な盗聴・傍受が欧米の関係を揺るがせています。独シュピーゲル誌、仏フィガロ紙など各国の主要メディアが「氷河期」への突入を指摘するほど冷え切った関係は国際政治・外交にも影響を及ぼさずにはすみません。


 米中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン氏が持ち出したNSAの機密文書に基づき、欧州主要国の在米公館や欧州連合(EU)本部への盗聴が暴露された今年6月を第1波とすると、現在はこれを上回る第2波の暴露が続いています。

 10月21日には、フランスで1カ月間に7030万件にのぼる民間人や官僚の通話が傍受・盗聴されていたことが明らかになり、オランド仏大統領がオバマ米大統領に電話で抗議しました。

 23日には、メルケル独首相の携帯電話への盗聴疑惑が浮上し、同首相もオバマ氏に抗議の電話を入れました。「絶対に容認できない。はっきりと非難する。これは重大な背信行為だ」

 国家・政府の首脳が直接、米国の大統領に電話で抗議するのも異例ですが、メルケル氏の言葉は同盟国間の外交関係においては最も厳しい表現だとメディアは伝えています。

 独仏は経済規模と人口で欧州1、2位の大国。欧米関係のきしみが、世界最大の自由貿易圏を目指す環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)交渉を滞らせる可能性もあります。同時に、欧米は世界最大の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)で結ばれた同盟国。どう今回の問題の決着をつけるか―第1波の盗聴暴露の際の「適切な外交ルート」を通じた説明だけでは済みそうにありません。


 米国家安全保障局(NSA) 米国最大の情報機関で1952年に創設。職員数は未公表ですが、数万人といわれています。米中央情報局(CIA)の主な活動がスパイなど人的情報収集であることに対し、NSAは通信情報の収集・分析、暗号解読を主な任務としています。本部はメリーランド州フォートジョージミード。


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