2013年10月30日(水)
東京五輪と国会決議 どう考える
宮本衆院議員に聞く
9月7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年の夏季オリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決まり、15日に国会決議が可決されました。これらをどう考えるのか、スポーツ議員連盟のメンバーで文部科学委員の宮本岳志衆院議員に話を聞きました。
五輪精神の実現に努力
国民に強制の素案 修正迫る
―2020年の夏季五輪の東京招致について、日本共産党は反対してきましたが、開催決定をどう考えていますか。
宮本岳志衆院議員 東京開催決定にさいして市田書記局長が談話で私たちの考え方を明らかにしています。一つは、IOCの総会で決まった以上、「総会決定を尊重し、スポーツを通じて国際平和と友好を促進するというオリンピック精神の実現に努める」という見地です。同時に、「東京招致については、内外からさまざまな不安と疑問の声が出されており、無条件の信任ではない」ということです。
もともと、東京招致をめぐっては、石原都政以来、五輪を利用して大規模な開発をすすめようとしてきた経緯があり招致に反対してきましたが、都の「開催計画」には内外からさまざまな疑問が出されています。国民・都民の生活や環境と調和のとれた簡素で無理のない取り組みとすることが強く求められます。
大型開発は厳しく監視
―福島原発事故、汚染水問題などの状況のもとで五輪開催に不安を感じるという意見や、震災復興の妨げになるのではという声もあります。
宮本 原発事故がいまだに収束していない中、安倍首相はIOC総会で「状況はコントロールされている」「健康問題については、今でも、将来も全く問題ない」などと事実を偽る演説をしたことに怒りを禁じえません。原発事故の収束、汚染水問題は、五輪のあるなしにかかわらず、早急な対策が必要です。日本共産党は、各界の英知と総力を総結集するよう呼びかける緊急提言を発表し、政府にその実行を迫っています。
また、五輪開催が復興の妨げになってはならないのは当然のことです。
国立競技場の建て替えに3000億円かけるという話もあります。私たちは以前から東京五輪を口実にした大規模開発はやめるべきだと主張してきましたが、この点は、しっかりとした監視が必要です。無駄遣いは徹底的にチェックしなくてはなりません。
決議提案に加わらず
―国会で「東京五輪成功決議」に賛成しましたが、どういう経過だったのでしょうか。
宮本 決議について日本共産党は、やるというなら国会決議にふさわしく修正するよう求め、最後まで改善の努力をしました。いくつか改善された点もありますが、私たちの修正案を他党が完全には受け入れませんでした。このため、日本共産党は決議の提案者には加わらず、「あえて反対しない」という態度を取りました。無条件に賛成したものではありません。
経過をいいますと、五輪開催決定後、スポーツ議連の自民党議員から「決議の素案」が各党に提案されました。前回1964年の東京五輪の際にも決議しているというのが理由でした。
しかし、その「素案」は、オリンピックの「開催は……東日本大震災からの復興を世界に示すものとなる」とか、「全国民一丸となって東京大会を成功させるよう努めなければならない」などというものでした。
私たちは、国民に協力を強制することは許されないと主張し「国民の理解と協力のもとに」と改めさせ、「復興を世界に示す」の文言を削除させました。また、スポーツ基本法に明記されている「環境の保全に留意」「国際平和への寄与」を盛り込ませるなど最低限の修正は認めさせました。
しかし、私たちが主張した「国民生活の向上をはかりながら、東京大会を成功させる」という文言の修正は受け入れられず、五輪を「変革の大きなチャンス」「新しい日本の創造」と関連付けるような文言は削除されませんでした。以上が、決議問題の経過です。
今後、オリンピックの準備に向けて、オリンピック憲章の精神と都民・国民の利益を守り、スポーツの民主的発展を促進するために力を尽くしていきたいと思います。