2013年10月27日(日)
米マクドナルド低賃金
電話相談で公的支援に誘導
10年間働いて時給は810円
【ワシントン=洞口昇幸】労働者の生活に必要な収入を公的支援で穴埋めさせているファストフード業の低賃金構造が問題となっている米国で、最大手マクドナルドが社員向けの電話相談を通じて公的支援に誘導している実態が明らかになりました。
「あなたはフードスタンプ(低所得者向け食料援助制度)について尋ねることができます。子どもはいますか?」「はい、2人」「フードスタンプを受ける資格があります」―。24日、このような電話音声が、CNNテレビなど米メディアで紹介されました。
電話相談の名称は「マックリソース」。米マクドナルドは「従業員やその家族のさまざまな問題について相談に乗り、支援する社内サービス」だとしています。
CNNは「店長が利用料金を払わなければ従業員は使えず、労働者に開かれていない」と報じています。
電話相談を利用したナンシー・サルガードさんは10年間、マクドナルドで働き、時給は8・25ドル(約810円)。「さまざまな業務があり、もっと賃金が高くても良いはずです」と訴えました。
電話音声をウェブサイトで公開しているのは同業労働者の時給を15ドル(約1470円)に引き上げることを求める運動団体「ローペイ・イズ・ノット・オーケー(低賃金は良くない)」。「マクドナルドはあなた(納税者)に従業員の追加給与を払ってもらいたいのだ。誰が得する?」と低賃金経営を行う大企業を非難しています。
米NPO(非営利団体)が15日に発表した報告書によると、米ファストフード業の労働者に毎年約70億ドル(6860億円)の税金が公的支援の形で注ぎ込まれています。そのうち38億ドルは最大手10社が占め、マクドナルドには12億ドルが投入されている計算になります。