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2013年10月24日(木)

小規模保育での資格要件緩和

死亡事故は防げるのか

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 安倍政権が「待機児童解消加速化プラン」の柱に位置づける小規模保育事業の基準案が先に取りまとめられました。「多様な主体が、多様なスペースを活用して」保育を提供するとしていますが、その認可基準には不安が付きまといます。 (下渕雅史)


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 小規模保育は、定員6〜19人で原則0〜2歳の保育を提供する事業です。保育所が運営する少人数の分園の移行を想定したA型、「保育ママ」のC型、AとCの中間のB型の3類型が示されています。

 A型は保育者全員が有資格者ですが、B型は半数が無資格者でよいとしています。C型は研修を受ければよく、資格は必要ありません。規制を緩和して受け入れ児童を増やすためです。

 基準を緩和したことについて厚労省は、「低年齢者が対象」「保育所と連携を前提としている」と正当化していますが、保育施設の死亡事故の多くが0〜2歳に集中していることをみても理由になりません。

保育の質が低下

 厚生労働省の発表によると、0〜2歳児の死亡事故は2010年では12人、11年では14人、12年では18人にのぼります。11年の死亡事故のうち認可保育所は2人に対し、認可外は12人。12年では認可が6人、認可外では12人。12年の認可外保育施設の死亡事故12件のうち、4件は無資格者だけで、12施設全てが有資格者比率8割未満です。

 全国保育団体連絡会は「今回の資格要件の緩和は、保育の質の低下につながる問題であり、容認すべきでない」と表明しています。

 保育施設の死亡事故でもっとも多いのが乳児(0〜1歳児)の午睡中の変死事例で、発見時の多くがうつぶせ寝の状態です。

 2010年に起きた福島県郡山市の認可外保育施設の死亡事故は、当時1歳の幼児がうつぶせ寝の状態で放置。それだけでなく、頭から足まで子ども用の毛布をかぶせ、さらに折り重ねたおとな用の毛布が頭の上にのせられていました。大阪府八尾市の家庭的保育事業でも同様に、うつぶせ寝放置での死亡事故が起きています。

 「赤ちゃんの急死を考える会」の小山義夫さんは、過去3年間の死亡事故について「明らかに保育の専門性や社会常識が欠落した人的状況下で生じた事故が含まれている」と指摘します。

自治体に丸投げ

 さらに小規模保育の面積基準はどうか。

 認可保育所とほぼ同じとしていますが、小規模保育を含めた地域型保育事業全体が面積について、地域の実情に応じて決定できる「参酌基準」とされており、自治体任せにされています。屋外遊戯場は代替地があればよいため、ビルの一室でも実施することが可能です。市町村によっては安上がりの待機児童解消をすすめるため、国の基準より緩和する可能性もあり、引き下げを許さないたたかいが重要となっています。


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