2013年10月23日(水)
原発再稼働
審査資料提出11月下旬〜12月
事故リスク評価ないまま
原発再稼働の前提となる新基準への適合性を審査する原子力規制委員会の審査会合は、北海道、関西、四国、九州の4電力が7月に申請した6原発の資料提出計画を明らかにしました。4社とも、耐震評価や重大事故対策を踏まえた設備・機器の工事計画書は11月下旬から12月としています。
6原発の審査は7月からほぼ週3回、公開で開かれ、さらに事務方の原子力規制庁と電力各社による非公開の面談が頻繁に行われています。
原発ごとにどういった事故が起こる可能性が高いかなどを評価した「確率論的リスク評価(PRA)」はどの社も未提出です。
新基準の適合性評価は、本来「確率論的リスク評価」の結果に基づいて、どういった事故への対策を準備すべきかを選定した上で、それぞれの事故に対する対策の有効性を評価します。そのため、規制委は、審査会合で再三にわたり提出を促していますが、4電力とも11月以降になる見込みです。
規制委は、「まともな審査に入れない」と苦言は呈するものの、PRAの結果もないまま、それぞれの事故対策の評価を進めています。
地震、津波などの審査では、関西電力大飯原発で、敷地周辺の地下構造探査が遅れているほか、北海道電力泊原発では津波を引き起こす断層の想定に規制委側から注文が付くなど、各原発とも基準地震動や基準津波が確定されていません。
設備や機器などの設計は、基準地震動や基準津波を基になされるため、審査の過程でこれらが大幅に変われば場合、工事計画も変更せざるを得なくなります。提出された資料にも多くの注文がついています。
一方、9月に申請した東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)は、福島第1原発の汚染水問題が影響し本格的な審査に入れていません。規制委には「あれはあれ、これはこれというわけにはいかない」(更田豊志委員)と批判的な声も強く、汚染水対策に一定のめどが付くまで審査が停滞する可能性があります。
規制庁は今月、適合性審査に当たる人員を4人増やすと決めましたが、福島第1原発の現場に常駐する職員は10人のままです。
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