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2013年10月23日(水)

憲法否定の国家安全保障戦略

会合わずかに4回 付け焼き刃の作文

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 「国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、世界の平和と安定、繁栄の確保に積極的に寄与していく旨を、国連総会などで発信してきた」。安倍晋三首相は21日夕、官邸で開かれた「安全保障と防衛力に関する懇談会」の第4回会合でこう力説し、日本政府として初めての「国家安全保障戦略」(NSS)の策定に強い意欲を示しました。


軍事大国への道

 同戦略の「基本理念」となっているのが「積極的平和主義」です。その具体的な内容は示されていませんが、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使や多国籍軍参加、PKO(国連平和維持活動)の拡大などが念頭にあるとみられます。そこには憲法に基づく平和主義や、「専守防衛」や「軍事大国にならない」といった歴代政権の防衛政策の基本方針を「消極的」と見る発想が透けて見えます。

 また、「国を愛する心の涵養(かんよう)」を「国家安全保障戦略上の戦略的アプローチ」の一つに挙げているのも重大です。

 これらから、同戦略の下で目指す日本の国家像は、国民に「愛国」を押し付け、米国や他の主要同盟国と同様、国際社会で当たり前のように軍事力を行使する「軍事大国」を目指そうという狙いが垣間見えます。

特異な考え方を

 21日の会合で示された「武器輸出三原則の見直し」「サイバーセキュリティ強化」といった項目(別項)の多くはこれまでも繰り返し言及されており、重大ですが、具体的内容はまったく示されていません。

 さらに、「普遍的価値を共有する国々との連携強化」は安倍首相の特異な考え方であり、価値観の異なる国々との外交関係を狭めることになります。これを外交指針にすることが、「戦略的」であるといえるのか。

 同戦略の策定が提起されたのは今年9月。以来、わずか4回で「議論の整理」がなされ、年末にも閣議決定が狙われています。あまりにも拙速であり、官邸主導の「戦争できる国」の体裁を整えるために、付け焼き刃で「戦略」と名のつく作文を書いている、との印象をぬぐえません。(竹下岳)

【基本理念】
○積極的平和主義の立場から、世界の平和と安定・繁栄の確保に寄与
○普遍的価値やルールに基づく国際秩序の維持・促進

【国家安全保障上の課題】
○中国の相対的な影響力の増大、北朝鮮の軍事力の増強と挑発行為

【国家安全保障上の戦略的アプローチ】
○武器輸出三原則の見直しの必要性とその方向性
○サイバーセキュリティの強化
○日米同盟の強化 在日米軍再編の着実な実施
○国連PKO等に一層積極的に参加
○普遍的価値(自由、民主主義、人権、法の支配)の共有
○開かれた形での国を愛する心の涵養(かんよう)


 ▲国家安保戦略 一般的に外交・安全保障の中長期的な指針とされており、外務省によれば、米国が1987年に初めて策定。その後、英国、豪州、韓国などが策定しています。ブッシュ前米政権が2002年に発表した同戦略は、他国への先制攻撃を盛り込み、イラク戦争の指針となりました。


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