2013年10月22日(火)
世界3000万人 なお奴隷状態
人身売買され性労働や非熟練労働…
豪人権団体が報告
オーストラリアに本部を置く人権擁護団体「ウオーク・フリー」は17日、世界で今なお約3000万人もの人々が奴隷状態に置かれているとする報告書を明らかにしました。その多くは犯罪集団に人身売買され、性労働や非熟練労働を強いられた人々。生まれながらに奴隷となっている人々もいると指摘しています。
ウオーク・フリーは世界162カ国について、奴隷状態にある人々、奴隷化の危険がある人々の数と各国政府の対応をランク付け。その結果、全世界で奴隷状態にある2980万人の47%、1390万人がインドでした。採石場やれんが工場での労働から商業的な性搾取までさまざまな形の奴隷状態に置かれています。
これに中国、パキスタン、ナイジェリア、エチオピア、ロシア、タイ、コンゴ民主共和国、ミャンマー、バングラデシュが続き、この10カ国で世界の76%を占めています。
略取・誘拐・拘束も
報告書は「今日でも西アフリカや南アジアで生まれながらに奴隷身分の人々がいるのは冷厳な現実だ」と強調。「それ以外は搾取目的で拘禁あるいは売買するために略取・誘拐された被害者だ」「虚偽の約束や仕事、教育などで釣られ、逃げられない状態に追い込まれる人々もいる」と指摘しました。
報告書は奴隷状態を、自由を否定して人間を所有・支配し、暴力や強制、詐欺行為を通じて利潤追求や性の搾取を行うことと定義。強制結婚や契約強制労働、子どもを戦争に従事させるために誘拐することも含まれます。
報告書は奴隷状態の人々の人口比を順位付け。最悪は西アフリカのモーリタニアで人口の約4%に当たる15万1000人です。同国では奴隷が“財産”とされ、奴隷の身分が世代継承され、「所有者」が売買、貸し借りを行い、贈り物として譲渡することも行われています。
続くカリブ海のハイチは人口の2%に当たる20万9000人が奴隷状態。貧しい家族が子どもを裕福な知人に預ける「レスタベック」(子預け)と呼ばれる子ども労働の風習があり、搾取や迫害の要因となっています。(夏目雅至)
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