2013年10月22日(火)
生活保護基準下げ 51制度に連動
帯広にみる 市民の4分の3利用
住宅家賃減免、住民税非課税、就学援助
生活保護基準は、最低賃金や住民税非課税限度額の算定、就学援助など国民の生活を支えるさまざまな制度の“物差し”となっています。安倍政権が8月に行った保護基準引き下げは、これら諸制度の利用者に深刻な影響を与えます。独自に影響調査した北海道帯広市の場合でみると―。(岩井亜紀)
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帯広市では、人口16万9065人(9月末現在)に対して、諸制度の利用者は延べ12万4252人(8月現在)です。人口の4分の3の生活が諸制度で支えられています。
「生活保護が俺の使っているいろいろな減免に関係あるなんて、知らなかった」―。市営住宅に妻(59)と住む立花健夫さん(59)=仮名=は、驚きを隠しませんでした。7年ほど前から下半身まひの症状が現れ、5年前に自営業を廃業。頸部脊柱管狭窄(きょうさく)症などと診断されました。
障害年金で生活しています。それまで住んでいたアパートの家賃4万5000円の負担がきつく、市営住宅に移りました。
現在はベッドに寝たきり。介護保険で、スロープと車いす、ベッドのレンタルと、週1回の訪問入浴などを利用しています。
立花さんがいま利用している制度は、重度心身障害者医療給付費と市営住宅家賃減免、介護保険料負担、介護保険サービス利用料軽減です。いずれも保護基準と連動します。
厚生労働省は生活保護基準の引き下げに伴い、38の制度に影響が出るとしています。一方、帯広市は、市独自の制度を含め51もの制度に影響します。利用者数は延べ12万4252人。そのうち生活保護利用者は5360人(8月現在)です。
同省は、できるだけ他制度に影響を及ぼさないよう対応することを基本的な方針とするといいます。
同市の財政担当者は「政府が具体的に示さないとやりようがない。制度から外れる人が出るおそれがある」と強調します。
住民税の非課税限度額は、生活保護基準に基づいて決まります。保護基準が8月に下がったので、非課税限度額も下がります。住民税非課税を利用要件とする制度では、来年度から利用できない人も出てしまいます。
同市の場合、市営住宅家賃減免や介護保険料独自軽減など延べ2306人に影響が出るとしています。
立花さんは「安倍政権は社会保障充実を理由に消費税を増税すると言うが、生活保護をはじめ社会保障の削減をすすめる。許せない」と語気を強めます。
日本共産党の稲葉典昭市議団長は「生活保護基準の引き下げは人口4分の3の市民が利用する制度に関係します。制度を支えるのは地域農業と関連産業です。生活保護改悪とTPP(環太平洋連携協定)が強行されたら、十勝地方の地域経済も住民の暮らしも破壊されてしまう。多くの市民が阻止する声を上げなければ」と話しています。
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