2013年10月20日(日)
主張
秘密保護法「修正」
「配慮」では危険性変わらない
安倍晋三政権が今国会での成立に執念を燃やす「特定秘密保護法案」について、公明党が「国民の知る権利の保障に資する報道または取材の自由に十分配慮する」などの表現を盛り込むことで「修正」に同意、25日にも閣議決定、国会に提出されることが確実になりました。「配慮」が盛り込まれたぐらいで、国民の目、耳、口をふさぎ、日本を「戦争する国」につくりかえる異常な弾圧法の本質が変わるわけではありません。むしろ、「国民の知る権利の保障に資する」とか、「正当な業務による行為」などと、一方的な条件を持ち出されているのは危険です。
秘密の範囲も政府次第
日本共産党が18日に発表した声明でも明らかにしたように、「特定秘密保護法案」は、外交、防衛など「特定秘密」について政府の「行政機関の長」が「秘密」と指定したものを公務員などがもらせば、最高「10年」もの懲役を科すことができるという弾圧法です。国民から見れば、なにが「秘密」に指定されているのかもわからず、ジャーナリストや一般市民が取材や情報公開請求で情報をえようとしただけでも処罰の対象となりうる危険な法律です。国会に対しても「特定秘密」を提供するときは非公開の「秘密会」にするよう要求したり、他の議員や政党職員にも漏らさないよう求めたりするなど活動を制約する恐れがあります。
公明党が合意した「修正」は、「国民の知る権利に資する報道または取材の自由に十分配慮しなければならない」とか、「出版または報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反または著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする」などの表現を法案に盛り込むというものです。
しかしもともと秘密保護法は、「行政機関の長」の判断で何でも「秘密」と指定できる法律で、公務員が過失で秘密をもらしても、ジャーナリストや一般市民が秘密を知ろうと「共謀」「教唆」「扇動」しただけでも処罰されることになっています。「知る権利」や「報道の自由」に「配慮する」と法文に盛り込んだだけではその危険性はまったく変わりません。
しかも、いったい誰が、「国民の知る権利に資する」取材・報道だとか、「著しく不当な方法」によらない「正当な業務」だとか判断するのか。それこそ、本来自由におこなわれるべき「国民の知る権利」のための活動や、取材・報道に不当な干渉となる危険は重大です。法案が取材や報道を「出版または報道の業務に従事する者」と特定しているのは、いわゆる市民メディアや政党・団体機関紙などの記者を排除する恐れがあります。
自民改憲案と同じ手法
一見、国民の基本的人権や表現などの自由を守るふりをしながら、「公益及び公の秩序を害しない限り」と制約を課すのは、自民党が憲法改正草案でも見せた手法です。ごまかしにはだまされません。
安倍首相は国会答弁で、外交・軍事の司令塔として新設する国家安全保障会議(日本版NSC)設置法とともに秘密保護法は成立させると繰り返しています。日本を海外で「戦争する国」に変えるのを許さないためにも、秘密保護法の成立は絶対に許されません。