2013年10月20日(日)
米無人機 市民450人超犠牲
国連報告 パキスタンなど
04年以降
【ワシントン=島田峰隆】国連人権高等弁務官事務所のエマーソン特別報告者はこのほど、米国がテロ対策を理由に国外で続けている無人機攻撃の実態調査の中間報告をまとめました。報告はパキスタンなどで2004年以降に450人以上の民間人が犠牲になったとしています。その上で、米国に民間人犠牲者に関するデータなど最大限の情報公開を求めました。米メディアが18日に伝えました。
調査は今年1月からエマーソン氏を責任者にして始まりました。民間人の犠牲者数や攻撃の合法性について調べています。無人機攻撃の実態については民間組織が情報収集していますが、国連による調査は初めてです。
報告によるとパキスタンでは少なくとも400人の民間人が米国による無人機攻撃の犠牲になりました。アフガニスタンでは2012〜13年にかけて30人以上、イエメンでは11年以降に少なくとも21人の民間人が亡くなりました。
報告は「無人機攻撃による民間人への影響を調査するうえで最大の障壁になっているのは透明性の欠如だ」「透明性の欠如は説明責任の空白を生み、犠牲者が補償を求める能力に影響を与えている」と批判。米国をはじめ無人機を使用している国々は「伝えられる民間人犠牲者について調査し、攻撃の法的根拠を明確に示す義務がある」と指摘しました。
またパキスタンが公の場では反対を表明していることから、無人機攻撃は主権侵害にあたるとの見方を示しています。
米政府は無人機攻撃を秘密作戦と位置づけ、犠牲者数などを公表しておらず、国際社会から批判されています。
中間報告は国連総会に提出されます。最終報告は来年3月ごろになる見通しです。
無人機攻撃 米軍や米中央情報局(CIA)などが国際テロ組織アルカイダの幹部などを殺害することを目的として作戦に導入しています。遠隔操作で攻撃ができ、米側は人的被害を出さずにすみます。一方、ミサイルの誤爆や巻き添えにより女性や子どもを含む多くの民間人が犠牲になっていることなどから批判が高まっています。