2013年10月19日(土)
高校無償化制を廃止
法案を閣議決定 14年度から所得制限
安倍内閣は18日、高校授業料の無償化制度をとりやめ、2014年度から所得制限を導入する法案を閣議決定しました。年収基準は政令で定めるもので、無償化の対象外となる世帯年収(夫婦と大学生、高校生の4人家族)の基準額を910万円以上とする方針。今国会での成立を狙っています。
全国の高校生は357万人(12年度)。22%の79万人が授業料を徴収される見通しです。世帯年収910万円以下の保護者は学校などに所得証明を提出する必要が生じます。14年度入学の新1年生から適用され、2年生、3年生には現行制度を継続します。
現行制度は「社会全体の負担により生徒の学びを支える」として、民主党政権時代の10年度に創設されました。多くの父母や教育関係者の運動の成果です。公立高校は授業料年間11万8800円を国が負担。私立高校には同額を就学支援金として国費で学校に支給しています。
今回の法案は、公立・私立ともに「就学支援金」制度に一本化し、「教育無償化」の理念を変質させるものです。
教育費無償化は世界の流れとなっており、日本政府は、34年間留保してきた国際人権規約「中等・高等教育の無償教育の漸進的導入」条項を承認したばかりで、国際的にも批判を免れません。
政府は、所得制限により捻出される財源の一部を「給付制奨学金」などに充てるとしています。しかし、所得制限により授業料が無償の生徒と有償の生徒をつくり、当事者を対立させることは教育の無償化に逆行するものです。