2013年10月18日(金)
きょうの潮流
「カープ女子」をご存じですか。プロ野球の広島東洋カープを応援する若い女性が急増しているのだそうです▼今季、久々の好成績もあって、首都圏を中心に赤いユニホームのファンがスタンドを埋めました。クライマックスシリーズ(CS)のファーストステージでは、阪神甲子園球場でも異変が。「こんなに赤く染まる甲子園はみたことない」。記者たちも目を白黒させていたと▼目につくのが若い女性です。「球場ラヴァーズ」というマンガが火をつけ、女子学生がつくるカープファンのフリーペーパー(無料発行物)まであるというから、隔世の感があります▼理由はそれだけではありません。広島といえば、いわずと知れた“貧乏球団”。選手の年俸総額は12球団中11番目、主力が育ったかと思うと他球団に移籍する悲哀は数知れず。22年も優勝から遠ざかるゆえんです。しかし、「困難さにめげず一生懸命な姿に心を打たれる」「環境のせいにせず、たたかう選手に励まされる」。若いファンから聞こえてくる声です▼「勝ち組、負け組」という社会風潮もあるなか“弱い者”への温かいまなざし。現代を生きる難しさなど、自身の境遇に重ね合わせる姿がそこにはあります▼試合後にも温かさが発揮されています。CSファーストステージを勝ち抜いた直後、相手の阪神ファンとエールを交歓し、交流する場面も。阪神ファンの変化も含め、少し前には考えられなかった光景です。こんなうれしい“異変”がファイナルステージでも目にできるでしょうか。