2013年10月17日(木)
滋賀・饗庭野 オスプレイ強行
本土訓練拡大の序章
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「バリバリバリ」―。すさまじい重低音を響かせながら、饗庭野(あいばの)演習場(滋賀県高島市)に飛来した2機のオスプレイは16日午前、報道陣の約70〜80メートル前方に着陸しました。
米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイを使った国内初となる日米共同訓練。折から吹きつける台風の強い風雨に重なって、着陸時にはひときわ強いオスプレイの下降気流が取材エリアにまで達します。砂や小石がまじったその強風に構えたカメラは体ごとあおられました。
2機からはそれぞれ小銃を携えた米海兵隊員と自衛隊員が次々に降り、敵陣地への侵入作戦を実演。防衛省の説明資料には米軍と自衛隊は別々の指揮系統にしたがうことになっているものの、一つの機体に海兵隊員と自衛隊員が同乗するかたちで訓練は行われ、日米軍事一体化の現状を物語っていました。
「ヘリボン」といわれるこの敵地派兵訓練は、沖縄で日常的に行われているオスプレイの訓練ではありません。日米両政府は、「負担軽減」のための「沖縄以外の場所」での訓練として今回の訓練を位置づけていますが、実際には訓練が「移転」されるのではなく、新たな訓練が別の場所で行われているだけです。
しかも、台風の中、強行された今回のオスプレイの実質的な訓練時間はわずか1時間ほど。12機が追加配備され、全24機が県内を飛び回っている沖縄の現状からみても、「負担軽減」とは程遠いものです。
しかし、わずか1時間ほどのあいだに、オスプレイは地元自治体が出していた要望事項をことごとく無視しました。防衛省は15日、市街地上空を避けて飛ぶよう求める地元に対し、「西側(山側)から進出入することを追求する」と通告。しかし、実際に飛来したのは高島市役所の上空など市街地上空を通るルートからでした。
あいば野平和運動連絡会と「ふるさとをアメリカ軍に使わせない滋賀県連絡会」のメンバー約40人は演習場周辺で監視活動を展開。二つの連絡会で代表を務める早藤吉男さん(72)は「地元の声を無視した飛行は今回の訓練を物語っている。容認した市長と知事の責任は重い」と語りました。 (池田晋)
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