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2013年10月17日(木)

きょうの潮流

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 早朝の東北新幹線に乗って出張したさいのことです。出がけに東京で読んだ、ある全国紙の12日付1面。「知る権利明記へ 秘密保護法案」という記事の文末は、「知る権利がどれだけ担保されるかは不透明だ」と結んでいました。もっともな指摘です▼ところが、大宮駅で乗り込んできた同僚が駅の売店で買った同じ新聞の記事の文末を読んで驚きました。「言論封殺への懸念はある程度は払拭されることになる」。評価が百八十度違います▼その新聞は、東京で読んだものとは別締め切りの版でした。こんな重大な問題で評価がころころ変わるとは…。なぜそうなったのか社内事情はわかりませんが、腰がすわっていないのでは▼秘密保護法案の今国会提出をめざす政府の動きは、危険でかつ巧妙です。「知る権利」に続いて、15日には「取材の自由」への配慮を明記する方針を固めたといいます。まるで毒入りコーヒーを飲ませるために一見甘いケーキで誘うような手口。毒はあくまで毒、飲んだら大変なことになります▼政府などに不都合な「秘密」を知る立場の人物から事実を聞き出し、国民の知る権利に応えるのが報道機関の大切な役割。しゃべっても聞いても重罰という弾圧法のもとで、言論の自由が守られるとは思えません▼本紙の調べで、安倍首相とマスコミ各社幹部の頻繁な飲食会合の実態が浮かび上がっています。しかし、ここは報道機関としての正念場。言論の自由を押しつぶす暗黒法案は、絶対に許すわけにはいきません。


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