2013年10月16日(水)
現在の情勢をどうとらえ、どうたたかうか
日本共産党国会議員団総会 志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が党国会議員団総会でおこなったあいさつ(15日)は次のとおりです。
みなさん、おはようございます。臨時国会の開会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。
「対決」「対案」「共同」――三つの役割発揮し、「自共対決国会」たたかいぬく
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この国会は、安倍政権の暴走が本格的に開始されたもとでの国会となりました。日本共産党は、この国会を「自共対決国会」としてたたかいぬく、この決意をまず冒頭に申し上げたいと思います。(「よし」の声、拍手)
国会議員団として三つの役割をしっかり果たしていきたいと思います。一つは、安倍政権の暴走と正面から対決することであります。二つは、どんな問題でも国民の立場に立った建設的な対案を示していくことであります。そして三つは、国民との共同を広げて悪政を包囲していくことであります。「対決」「対案」「共同」――三つの役割を縦横無尽に発揮して、日本共産党国会議員団ここにありという大奮闘をしていこうではありませんか。(「よし」の声、拍手)
「対案」ということでは、わが党は、本日、ブラック企業規制法案を参議院に提出しました。違反行為へのペナルティーの強化、長時間労働の規制、ブラック企業の実態の情報公開などによって、ブラック企業を規制しようというものであります。議案提案権を活用した公約実現の第一歩の活動であります。この法案の成立をめざすとともに、この法案の内容に即して、政治を前に動かすために知恵と力をつくそうではありませんか。(拍手)
暴走の具体化の一歩一歩が矛盾を深め、政治的激動が起こることは避けられない
私は、この国会の開会にあたりまして、現在の情勢の大きなとらえ方について話したいと思います。
いま安倍内閣をみますと、彼らは衆参両院で多数を確保しています。世論調査でも安倍内閣の支持率は5割台から6割台の高いといわれる支持率が出ております。それでは彼らは政治的に盤石か。そんなことは決して言えません。この内閣の基盤はきわめて脆(もろ)いものです。その中身はきわめて脆いということを、私は強調したいと思います。
安倍内閣の暴走の具体化の一歩一歩が、国民とのあいだでの矛盾を深め、あらゆる分野でそれが噴き出し、早晩、政治の激動的局面が起こることは避けられません。
私は、暴走政治がはらむ脆さと矛盾ということについて、いくつかの具体的な例で話したいと思います。
今度の消費税増税は、どこから見ても道理が立たない
たとえば消費税増税問題はどうでしょうか。
私は、「今度の消費税増税は、どこから見ても道理が立たない」というところが大切なところだと思います。
安倍内閣は、増税のために景気が悪くなる、景気が悪くなるから「景気対策」をやると言います。しかし、その中身は、6兆円の「景気対策」のうち、2兆円は大型公共事業、2兆円は大企業減税と、大企業へのバラマキが中心ではありませんか。結局、消費税増税の目的は、「社会保障のため」でも「財政再建のため」でもなく、大企業へのバラマキのためという正体が、はなから割れているではありませんか。
とりわけ、復興特別法人税を1年前倒しで廃止するというのは、誰の目からみても道理が立たないことは明らかではありませんか。
こうした矛盾の焦点をつく論戦を大いに展開し、国民運動とスクラムを組み、消費税増税を中止に追い込むために、全力をあげようではありませんか。(「よし」の声、拍手)
TPP――「守るべきものは守る」の公約を公然と裏切る行動に
TPP(環太平洋連携協定)問題ではどうでしょうか。
この問題では、安倍政権が「守るべきは守る」という自らの公約を公然と裏切る行動に出たということが重大なところであります。
農産物の重要5項目――コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖については「聖域」とする、それができなければ脱退するというのが自民党の公約でした。2日、JA全中や生協などが開いた緊急集会でも、自民党の石破幹事長は、「農産物の重要5項目は守りぬく」と繰り返し、繰り返し言明しました。
ところが、その舌の根も乾かぬうちに、自民党のTPP対策委員長が、「5項目」も「検討」の対象にすると言いだした。「聖域」にするということは「検討」の対象にもしないことです。指一本触れないというのが「聖域」ではありませんか。「重要5項目」の関税撤廃の「検討」に踏み込むという自民党の姿勢は、自らの公約を裏切るものであることは明りょうではありませんか。
この裏切りには、農業者をはじめとする国民から激しい怒りが広がることは避けられません。国民への公約を反故(ほご)にするならTPPは即時撤退しかない。この声を突きつけようではありませんか。(拍手)
憲法改定と同じ効果をもたらす解釈改憲が許されるか
憲法問題でも、安倍政権のたくらみが思惑通りにすすんでいるわけでは決してありません。安倍政権は、当初は9条改定を押し出しましたが、うまくゆかず、続いて96条改定を押し出しましたが、これも広範な人々の批判を受けて頓挫(とんざ)し、続いて内閣法制局長官の首をすげ替えるというクーデター的手法で、集団的自衛権の行使容認に踏み込もうとしています。しかし、ここでも9条改定の是非を超えて、広範な人々から批判が起こっています。
元官房副長官補の柳沢協二氏が「毎日」のインタビューで次のように述べました。
「政府の解釈を変えて、実質的に憲法9条改定と同じ効果を持たせようというのなら、それは、憲法改正の手続きを定めた憲法96条の脱法的行為と言わざるを得ない」
私は、その通りだと思います。憲法解釈を変えて集団的自衛権行使を容認すれば、日本を「海外で戦争をする国」にしてしまうという点で、憲法9条改定と同じ効果をもたらすことになります。憲法改定と同じ効果をもたらすような解釈改憲を、国民にもはからずに、国会にもはからずに、閣議決定で強行することが許されるのか。このことがいま問われている大問題です。
もしもこんなことが許されるのなら、憲法が憲法でなくなってしまいます。まさに憲法破壊の暴挙というほかありません。これを許さないたたかいを、大いに意気高くすすめていこうではありませんか。(拍手)
「秘密保護法案」の国会提出に断固反対、企て阻止し安倍政権に痛打を
「秘密保護法案」を許さないたたかいは今国会の大きな争点となりました。
この法案の狙いは、国民の目と耳、口をふさぎ、「海外で戦争する国」づくりをすすめることにありますが、その恐るべき内容に対して、国民の不安と批判が急速に広がっております。
「秘密」の範囲は行政当局の判断次第で際限なく広がる。「秘密」を漏らした人だけでなく、「秘密」にアクセスしたり取材したりする国民やメディアの活動も重罪の対象とされる。国会による「秘密」の調査権も制限される。
あまりに深刻な人権侵害の暗黒法案に対して、日本弁護士連合会、日本新聞協会、日本ペンクラブなど国民各界各層から反対の声が巻き起こっております。
日本共産党は、この暗黒法案の国会提出に断固として反対するものであります。(「そうだ」の声、拍手)
この企ては必ず阻止しなければなりません。「海外で戦争する国」づくりの道をすすむ安倍政権に一大痛打をあびせようではありませんか。(「よし」の声、拍手)
暴走政治がはらむ脆さと矛盾――その焦点を突く攻勢的論戦を
いくつかの具体的な例でお話しいたしましたが、暴走政治がはらむ脆さと矛盾ということは、他のどの問題でも言えることであります。
原発をめぐっても、福島第1原発で放射能汚染水が制御できない非常事態が進行するもとで、この国家的危機へのまともな対処もないまま再稼働に熱中する、原発輸出に熱中する、そうした政治の道理のなさへの怒りは、ノーニュークスデイに4万人もの人々が参加したことにも示されました。
安倍内閣がおしすすめる暴走政治には大義も道理もありません。それはきわめて危険な動きですが、恐れる必要はありません。暴走の具体化の一歩一歩が国民との矛盾を広げざるをえません。この道を無理押しするなら、政治の激動的局面が、早晩、訪れることは避けられません。
情勢がはらんでいるこうした激動的な特徴をしっかりつかみ、暴走政治の矛盾の焦点をつく攻勢的な論戦を展開し、意気高くこの国会をたたかいぬこうではありませんか。
以上をもって開会にあたってのごあいさつといたします。みなさん、いっしょにがんばりましょう。(「よし」の声、拍手)