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2013年10月9日(水)

移民船の惨事EU揺るがす

受け入れ「各国任せ」 批判が噴出

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 【パリ=浅田信幸】イタリア南部のランペドゥーザ島沖で3日に起きた移民船火災事故は、最終的な死亡者が350人前後に達するものと推測され、「ランペドゥーザの悲劇」として欧州に衝撃を与えています。


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過去最悪の事故

 遺体捜索作業はいまも続いており、7日までに収容された遺体は計232体になりました。船には東アフリカのソマリアやエリトリアなどからの移民約500人が乗っていたといわれ、生存者は155人。同島沖で起きた過去最悪の移民船事故となりました。

 これを機に、移民(難民)受け入れについて欧州連合(EU)が統一した政策を欠いていることがメディアの指弾を浴びています。

 ドイツの国外向け公共放送ドイチェ・ウェレは4日、「ランペドゥーザは欧州の目覚ましになるか」と報道。フランスのルモンド紙8日付は社説で「この悲劇が欧州を目覚めさせなければならない」と強調しました。

 イタリアは、北アフリカから地中海を越えて欧州にたどり着く難民のいわば玄関口。ランペドゥーザはその最前線に位置します。イタリアへの入国を果たすと、多くは「人の移動の自由」なEU域内の国境線を越えてドイツやスウェーデン、オランダなどを目指して移動していきます。

 経済水準の高い広大なEUがあるからこそ、難民や移民が地理的に近いイタリアやマルタに殺到する構図です。EUからの支援も少しはありますが、受け入れ施設をはじめこれらの国は過重な負担を強いられているのが実情です。

共通政策が必要

 EUの難民受け入れ規則は、“移民や難民の申請の取り扱いは彼らが最初に足を踏み入れた国が管轄”する、つまり、イタリアに到達した難民はイタリアが対処すべきだという内容です。このため11年にチュニジアからの難民が殺到し、イタリアが彼らのフランス(旧宗主国)行きを促す措置を取ったときには、伊仏間で外交論争にまで発展しました。

 事故当日、ランペドゥーザに駆けつけたアルファノ伊副首相は、「この悲劇が欧州全体にとっての恥辱であることをEUが理解するよう期待する」と表明しました。マルムストローム欧州委員(内務担当)も「欧州共通移民政策」の必要性を訴えました。

 しかし、各国の足並みはそろっていません。ルモンド紙の社説は「欧州の連帯が存在しない」と指摘し、仏週刊誌『ポワン』は「各国のエゴイズム」を告発しました。

 ファンロンパイEU大統領(常設議長)は「EUは危機を通じて建設される」と語っています。緊縮政策や若者の失業の激増などでも「連帯の欠如」が何かと話題になる昨今のEU。今回の悲劇を前にして、新たな連帯と結束への転機にしえるかどうかが各国指導者には問われています。


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