2013年10月8日(火)
論戦ハイライト 東電汚染水漏れ対策
倉林議員追及
「逃げろとだけいわれて、放射能の汚染地域を幼い子どもを連れて逃げ惑った母親、この苦悩は、今も未来も続く」――参院経産委員会の閉会中審査で7日、日本共産党の倉林明子議員は、東電の広瀬直己社長に避難住民の思いをぶつけました。
経産相「安易な放出しない」
倉林氏“いずれ海に”改めよ
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倉林 東電は、あの事故でどれだけの放射能を出したのか。
広瀬 大気中へのセシウム134、137あわせて2万兆ベクレル。海洋への放出は約7100兆ベクレル。その後、地下水の汚染などにより、最大で1日あたり約200億ベクレル…。
海に流すが前提
淡々と答える広瀬社長に倉林氏は、「海の汚染はセシウム137だけでみると8600テラ(兆)ベクレルになるという試算も出ている。広島原爆のおよそ100倍もの量の汚染だ」と指摘し、事故の深刻さを強調。「これ以上、海を汚さない」と決意すべきだと訴えました。
政府の汚染水対策については、「福島の思いに本当に応えるものになっているのか」とただしました。
倉林 地下水バイパスで(陸側の井戸から)くみ上げた分、さらに(原子炉建屋付近の)サブドレンからくみ上げた一部、多核種除去設備(ALPS=アルプス)で(放射性物質の)多核種除去をした後のトリチウム水についても、海に流すということが前提の計画ではないか。
糟谷敏秀経産省総括審議官 地下水バイパスでくみ上げた水は、一時貯水タンクに蓄え、安全なものについては海に放出する。サブドレンによってくみ上げた水は、基準以下になるように処理する。
茂木敏充経産相 ALPSより高性能な設備を使ってもトリチウムそのものは取れない。安易な放出はしない。
倉林 結局、流さないということではないということだ。
倉林氏は、「安易に“いずれ海に流せばよい”という考えが根っこにある」と述べ、こうした考え方から縁を切れと主張しました。
東電社長「柏崎刈羽は維持」
倉林氏「福島に回すべきだ」
東京電力が再稼働をめざす柏崎刈羽原発の職員体制を維持する一方、福島第1原発については職員体制を削減している実態が浮かび上がりました。
福島第1の東電職員は事故対応で1300人(2011年7月)だったのが、現在1000人にまで減少しています。一方、柏崎刈羽の職員は1200人体制を維持しています。
再稼働の断念を
倉林氏は、原子力規制庁長官も、ほかの原発から人員を回してでも事故対応を実施するよう求めていることを指摘しました。
倉林 柏崎刈羽からも当然、総動員するということだな。
広瀬 本店で対策に関わる人員など合計約1300人くらいがかかわっている。
倉林 結局、柏崎刈羽から、福島第1に1人も動かさないということだ。
「再稼働の準備はきっぱりやめて、福島第1に回すべきだ」と迫る倉林氏にたいし、広瀬氏は、「東電の全資源を汚染水対策に集中する」と言いながら、「(柏崎刈羽にも)安全性確保のための必要な人間を引き続き置く」とのべ、再稼働に固執しました。
倉林氏は「再稼働を進めようとすれば人手も資金もつぎ込むことははっきりしている」と指摘。政府は再稼働中止の決断を求めるべきだと迫りました。
しかし、茂木敏充経産相は、柏崎刈羽の安全審査申請の報告を受けた際、福島第1の事故処理、「廃炉、汚染水対策がおろそかにならないように強く求めた」と述べるだけでした。
倉林氏は、「最優先で取り組むべきは、汚染水対策だ。このことに集中して取り組むべきだ」と強く求めました。