2013年10月6日(日)
あなたの町にカジノ!?
安倍政権、自治体巻き込み
「観光立国」「経済成長」を名目に、カジノを中核とする大型リゾート開発に積極的な安倍内閣。財界や業界団体が地方を巻き込んですすめてきた「カジノ誘致」計画も、深刻な広がりをみせています。その思惑通りすすめば、近い将来、日本列島に巨大な賭博施設が“林立”することになりかねません。
(竹腰将弘)
安倍晋三首相のカジノは「メリットも十分にある」という答弁(3月8日、衆院予算委員会)は、関係者の間で衝撃的に受け止められました。
カジノ合法化問題が政界でとりざたされ始めた2000年代初頭以降、ときの首相がこれほど積極姿勢を明らかにしたことはかつてなかったからです。
いま前面に出されているカジノ計画は、カジノにホテル、ショッピングセンター、劇場、国際会議場などを併設した「統合型リゾート」。数千億円規模の投資をともなうもので、誘致する地域には大きな経済的利益があると宣伝されています。
自治体が胴元
カジノ議連の法案ではカジノの施行者は地方自治体とされ、国は自治体の申請を審査し認定します。胴元となる自治体の受け皿があって初めてすすむ計画です。
議連のカジノ構想にくわしいパチンコ業界関係者は「当面、国内10施設がめど」といいます。地方のカジノ構想は、主なものだけでも各地に20余が動き始めています。(地図参照)
維新共同代表の石原慎太郎氏が都知事時代の1999年に打ち出した「お台場カジノ構想」以来カジノに執着している東京都、橋下徹大阪市長の「都構想」の中軸にカジノをすえている大阪府がよく知られています。
森田健作千葉県知事の成田空港カジノ計画、ゼネコンなどでつくる日本プロジェクト産業協議会の指導を受け3県で定期的に協議会を続けている神奈川、和歌山、沖縄など、自治体主導ですすむカジノ計画が多数あります。
一方、地元経済界やパチンコ機器メーカーなどが乗り出す長崎、宮崎の動きなど、民間主導ですすんでいる計画もあります。
いずれも、暴力団の介入や青少年への悪影響、ギャンブル依存症拡大などの深刻な問題点を軽視し、経済効果を強調しています。
住民置き去り
これらのカジノ計画は、住民の良識ある声を置き去りにしてすすめられています。
神奈川県が2009年に行った住民意識調査では、カジノに賛成10・1%、条件付き賛成34・5%、反対34・2%。和歌山県が同年行った調査でも、賛成、反対、わからないがそれぞれ3分の1ずつでした。カジノに対する反対論は根強いのです。
沖縄県や大阪府などでは、幅広い市民団体がカジノ反対の声をあげています。「革新懇話会がカジノ問題のシンポジウムを準備」(宮崎)など、市民の側からカジノ計画に対抗する運動も始まっています。
日本共産党は、東京都をはじめ各地の議会でカジノ反対の論陣を張り、カジノ合法化を許さないための国会内外での市民との共同をすすめています。
地域経済「滅び」の道
ノンフィクションライター 若宮 健さん
カジノ解禁をねらう政治家たちは、カジノの大きな負の部分を知らなすぎるか、それを隠して「国際観光」「経済効果」などときれい事をならべている。
韓国やマカオのカジノをみても、ギャンブル依存症でホームレスになる人、自殺に追い込まれる人が後をたたない。犯罪者集団が流れ込み、売春の横行など風紀の悪化、青少年への悪影響は計り知れない。雇用が増えるどころか、まともな産業は成り立たず、地域の経済は衰退するばかりだ。
地域のために、わらをもつかむ思いでカジノに期待する人もいるだろう。しかし、活性化どころか「滅び」に向かうのがカジノだ。
政治家がどんなきれい事をいっても、バクチはすべて負ける人の犠牲の上に成り立っている。西洋のバクチを解禁し、そのバクチのあがりのおこぼれにあずかろうなどというのは、あまりにさもしく、情けないことだ。
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