2013年10月6日(日)
戦略特区案
契約で解雇可能に
政府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG、座長・八田達夫大阪大招へい教授)は5日までに、労働者の解雇が自由にできるなど「特区」に盛り込む労働規制の撤廃案を固めました。「残業代ゼロ」となる労働時間規制の撤廃(ホワイトカラーエグゼンプション)については「議論する時間的余裕がない」とする一方、解雇に対する規制と有期雇用の正社員化ルールについては、優先して撤廃するよう求めています。
現行法では、(1)やむを得ない理由がない限り企業は自由に解雇できない(2)有期雇用で5年超働けば無期雇用に転換できる(3)決められた時間を超えて働かせてはならず、超えた場合は割増賃金を支払う―と定めています。
WGではこれまで、(1)入社時の契約で条件を決めておけば解雇できる(2)労働者と合意すれば5年超働いても無期雇用にしなくていい(3)一定の収入があれば労働時間を規制せず、残業代を払わなくていい―を「特区」で認めるよう求めています。
4日までの議論を踏まえて、解雇規制と有期雇用ルールの撤廃を優先して求めることで大筋合意。要件として「外国人比率が一定以上」「開業5年以内」の企業に加えて、大学院修了者など「高度な人材」とする案を検討することになりました。
「特区」については「ブラック企業特区をつくるものだ」との批判が強いことから、条件付きで労働規制を撤廃する突破口にしたい考えです。
労働分野の規制は、憲法が定める平等原則や企業の公正競争を確保するために全国一律が当然であり、地域や条件で緩和することは許されないものです。しかし安倍内閣は、大企業支援のために「特区」で緩和する方針を打ち出し、臨時国会に国家戦略特区法案を提出する方針です。
残業代ゼロ制度(ホワイトカラーエグゼンプション) 一定の年収などがある場合、労働時間の規制をなくし、残業代や深夜・休日の割増賃金を支払わない制度。第1次安倍内閣が2006年に導入をねらいましたが、「残業代ゼロ」「過労死促進」法案と批判され、提出断念に追い込まれました。