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2013年10月6日(日)

主張

介護保険の改悪案

“使わせない”の拡大は許せぬ

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 厚生労働省が、来年の通常国会に提出を狙う介護保険改悪法案の具体化を急ピッチですすめています。改悪案は、介護を必要とする人のサービス利用をきびしく制限するなど国民に負担を強いる方向が鮮明です。安心の介護保障を求める国民の願いに逆らう改悪案に批判と怒りの声が上がっています。“使わせない”路線を拡大する改悪はただちにやめるべきです。

「掛け捨て」化の加速

 厚労省は9月から4回開催した社会保障審議会介護保険部会(厚労相の諮問機関)に改悪案を次々示しました。安倍晋三内閣が8月、消費税増税と一体で実行する社会保障改悪のプログラム法案骨子を決めたことを受けたものです。

 改悪案には、従来の介護保険制度の根幹を覆す重大な内容がいくつも列挙されました。その一つが、一定の所得のある高齢者の利用料負担増です。介護保険制度発足(2000年)からずっと1割だった利用料負担を初めて2割にするものです。年金など限られた収入しかない高齢者にとっては現在の1割負担も軽くありません。いまも負担の重さからサービス利用を断念する高齢者も少なくありません。

 介護保険は、病気が治れば通院・入院をやめる医療保険と異なり、いったん介護が必要になれば利用が生涯続く人がほとんどです。負担は計り知れません。負担増の対象も65歳以上の高齢者の5人に1人にのぼります。介護保険部会では大企業役員の委員から“将来すべての課税対象者を一律2割に”との意見も出たように、今回の負担増が「原則2割」の突破口にされる危険もあります。経済的理由で利用を断念する人を激増させることなどあってはなりません。

 「軽度者」の締め出しも露骨です。「要支援1、2」の高齢者約150万人を国基準の介護保険給付の対象から除外する方針は、制度の存立にかかわる大問題です。

 もともと「要支援1、2」は、自公連立の小泉純一郎政権が強行した05年介護保険改悪で導入されたもので、「要介護」の高齢者が次々と「要支援」に変更され福祉用具の取り上げなど深刻な被害が続発しました。それでも「予防給付」という国基準の介護保険給付を保障する仕組みは残されていました。今回は国基準による「予防給付」の仕組みすら廃止し、市町村の「事業」に丸投げするとしたのです。さんざん「介護予防」の重要性を強調しながら、なにをするかは市町村まかせという国の姿勢はあまりに無責任です。

 特別養護老人ホームの入所条件を「要介護3」以上にする方針は、施設介護の充実に背を向けたものです。高い保険料を払い続けてもサービスが利用できない「掛け捨て」化の加速は、「介護難民」をさらに生み出し、国民の介護保険制度への不信をますます強める結果しかもたらしません。

安心の制度への転換こそ

 270兆円もの内部留保をため込む大企業支援に熱中する一方、支えを切実に求めている高齢者・家族への支援を容赦なくカットする安倍政権の姿勢は異常です。国民に「自己責任」を求めるのでなく、大金持ち・大企業に応分の責任と負担を求めることがスジです。消費税大増税と社会保障改悪を阻止し、介護をはじめとする社会保障の再生・充実をすすめる政治への転換が急がれます。


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