2013年10月5日(土)
米の債務問題 深刻
“不履行に陥れば壊滅的影響”
財務省報告
【ワシントン=島田峰隆】米国では1日からの政府機関の一部閉鎖に加えて、10月半ばまでに連邦債務の法定上限(16兆7000億ドル)が引き上げられなければ債務不履行(デフォルト)に陥る事態も深刻な問題として浮上しています。オバマ大統領は3日、下院で多数を占める野党共和党に対し、責任ある態度を取るよう求めました。
米財務省は3日、報告書を発表し、もし米国が債務不履行に陥れば、雇用や消費、金融市場に壊滅的な影響を与えるとし、「2008年と同じかそれを超える深刻な金融危機や景気後退が起きる可能性がある」と指摘しました。報告書は、デフォルト回避に向けて、議会に迅速な対応を呼び掛けました。
オバマ氏や財務省は今月17日には現在実施中のデフォルト回避策が限界に達するとして、議会に上限引き上げを認めるよう求めています。
オバマ氏は3日、メリーランド州で行った演説で、政府閉鎖の問題とあわせてデフォルト回避の重要性を訴えました。「米国は世界経済の中心だ。もし米国が大失敗をすれば、世界全体が問題を抱える」「デフォルトがもたらす経済停滞は著しく悪いものになる。デフォルトは無責任の極みだ」と強調しました。
共和党は、債務上限引き上げに同意する条件としてオバマ政権が推進する医療保険改革法の実施先送りを要求してきました。
ただこうした共和党の強硬姿勢に対する国民の批判も少なくありません。このため、米メディアが3日報じたところによると、ベイナー下院議長をはじめ共和党側はデフォルト回避のための対応を検討し始めているといいます。