2013年10月5日(土)
きょうの潮流
驚きました。見慣れている米ホワイトハウス(大統領官邸)のホームページを開くと、真っ黒です。画面中央に注意書きがありました。「米議会が予算可決に失敗したため、このサイトは更新されない」▼医療保険改革をめぐる与野党対立から暫定予算が成立せず、会計年度が替わった10月1日以降、一部の米政府機関が閉鎖されました。約80万人の職員が給与停止に直面しています▼事態の深刻さから、オバマ大統領は今週からのアジア歴訪中止を余儀なくされました。中には、米政府が「アジア太平洋戦略の最重要課題」と位置付けていた環太平洋連携協定(TPP)首脳会合も含まれています▼米国はすでに、財政難に伴う国防費削減で、海外での米軍の活動を縮小するなど、存在感をじわじわと低下させています。予算をめぐる対立は一時的なものかもしれませんが、かの国が世界を思うように支配してきた時代が過ぎ去ったことは、だれの目にも明らかです▼それでも日本政府は、米国主導の秩序にしがみついています。3日に開かれた日米の外交・軍事担当閣僚による「2プラス2」会合で議論されたのは、相も変わらぬ「同盟強化」です。しかも、これまでは米国が日本を戦争に動員してきたのに、逆に、台頭する中国におびえる日本が米国を「動員」するという、奇妙な状況も見られます▼安倍政権が進める「米国とともに戦争できる国」づくりの危険な動きは、それ以外を想像できない勢力の、焦りのあらわれでもあります。