2013年10月2日(水)
主張
消費税率引き上げ
国民は増税の実施を認めない
安倍晋三政権が実施を決めた来年4月からの消費税の税率5%から8%への引き上げは、総額で8兆円に上る巨額の負担を国民に押し付ける暴挙です。物価を上昇させ、国民の消費を冷え込ませて、暮らしと経済に壊滅的な打撃を与えます。しかもそのあとには再来年10月から消費税の税率をさらに10%に引き上げる増税が待ち構えています。消費税の増税を押し付ける一方、大企業の法人税を減税するなど論外です。消費税増税との「一体改革」と称した医療、介護、年金など社会保障の改悪も目白押しです。国民は決してこんな庶民大増税は認めません。
厚顔無恥にもほどがある
「国民は景気回復を実感できていない。消費税増税などもってのほか」「被災地はまだまだ復興の途中。復興を妨げる消費税増税は中止を」―安倍政権による消費税増税実施の決定を目前に、先週末東京で開かれた「消費税大増税ストップ」を求める国民集会での声です。会場の日比谷野外音楽堂は、「絶対中止」とかかれた真っ赤なプラスターで埋まりました。
安倍政権の実施決定直前の9月末、「日経」がおこなった世論調査でも、来年4月からの消費税増税に「賛成」が47%、「反対」が48%と拮抗(きっこう)したままです。国民の多数が増税に納得しているとはとてもいえません。消費税増税の強行は「同意なしには課税なし」が原則の、民主主義の根本を破壊します。
だいたい民主党政権のもとで昨年8月、自民、公明、民主の3党で消費税増税法を強行成立させたさい、増税の実施は経済状況の「好転」が条件でした。安倍政権が経済の再生を最優先させてきたのもそのためですが、「アベノミクス」の結果、株価や物価は上がっても国民の所得や雇用は増えていません。安倍政権が実施決定の直前になって追加的な経済対策をめぐり大騒ぎしたのも、経済が好転していないのを証明するものです。
しかも、景気を「腰折れさせない」と称して安倍政権が持ち出してきた追加的な経済対策の中身はひどすぎます。消費税の増税に直撃される国民の暮らしはそっちのけで、大企業向けの法人税については、復興特別法人税は前倒しで廃止する、設備投資などへの減税は拡大すると、至れり尽くせりです。大手ゼネコンのための公共事業の追加も盛り込みました。
与党内の調整で復興法人税の廃止には「検討」ということばが加わりましたが、単なる取り繕いです。被災地や増税が続く国民は念頭にありません。法人税を減税しても賃金に回るかどうかわからないと疑問が出されると、では賃金を上げたらその分も減税しましょうと言い出す始末です。大企業のためには何でもありという態度を大企業いいなりの厚顔無恥といわずになんといえばいいのか。
増税中止の一点で共同を
安倍政権も否定できないように、経済状況の不安が解消していないなら、まず消費税の増税を中止すべきです。4月からの増税中止には、時間は十分あります。
税と社会保障のあり方や財政再建について意見の違う方を含め、4月からの消費税増税中止の一点で力を合わせ、やめさせなければなりません。消費税増税が暮らしと経済をめちゃくちゃにするのを許さないために、増税中止の世論と運動を広げることが重要です。