2013年10月1日(火)
左翼党 全国一律「最低賃金を」
ドイツ総選挙後 反響よぶ
保守与党、最高所得税率上げの声も
【ベルリン=片岡正明】連邦議会選挙から1週間たったドイツでは、左翼党が新政権樹立前に全国一律の法定最低賃金導入を議会で決めようと社会民主党(SPD)と90年連合・緑の党に訴え、反響を呼んでいます。
9月22日の選挙で連立与党は、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が議席の半数近くをとったものの、自由民主党(FDP)が戦後初めて議席を失いました。
その結果、全国一律の法定最低賃金導入や富裕税導入による所得の再分配を訴えた野党の社会民主党(SPD)、左翼党、90年連合・緑の党が議席数でCDU・CSUを上回っています。
左翼党のギジ連邦議会議員団団長は、選挙戦で社会的公正を訴えた3党で政権をつくろうと提案したものの、SPDも緑の党も拒否。そこで11月以降にもつれ込むとみられる新連立政権成立の前に議会で、3党が一致する最低賃金導入だけでも決めようと左翼党のキッピング共同議長が25日、両党に呼び掛けました。
これについて26日付の独紙ターゲスシュピーゲルは「全国一律の最低賃金など左派の政策は意味を持つ」とキッピング共同議長の提案を援護しています。
一方でCDU・CSUの中から、社会的公正を訴えた3党が過半数を得ていることを直視し、妥協を探る発言が出ています。ショイブレ財務相は26日、「所得税の最高税率は上げるべきだ」と発言。これはSPDが富裕税や所得税の最高税率引き上げなど税による富の再分配を掲げていることを考慮したものです。ただCDUの議員からは「選挙公約と違う」と批判が相次ぎました。
しかし、メルケル首相は「安定した多数の内閣をつくる」と明言しており、これからも妥協を探る動きが続きそうです。