2013年9月30日(月)
退陣仲介案受け入れ
チュニジア暫定政府与党
【カイロ=小泉大介】暫定政府と野党勢力が激しく対立しているチュニジアで28日、最大与党のイスラム主義政党アンナハダ幹部が、中立政府樹立などで野党との協議がまとまり次第、現政府は退陣するとの見解を表明しました。今後、野党側がこれを受け入れ対話が実現するかどうか、同国情勢は正念場を迎えています。
ロイター通信が伝えたところによると、アンナハダ幹部は「われわれは国家を政治危機から救うため、(仲介の)提案を無条件で受け入れた」と述べるとともに、「(野党側との)対話は30日か10月1日に始まるだろう」との見通しを示しました。
チュニジア情勢をめぐっては、世俗野党側の暫定政府即時退陣要求をアンナハダが拒否し対立が激化するなか、組合員60万人を擁する労働総同盟(UGTT)が、両者の話し合いにより暫定政府退陣と中立内閣の樹立を実現し、同内閣が議会・大統領選挙を準備するという中身の仲介案を示していました。
しかしアンナハダが現在もつづいている新憲法起草作業の終了など、暫定政府退陣の条件に固執したため、UGTTは24日、反政府デモを開始すると宣言しました。今回、国民に対し大きな政治的影響力を有するUGTTの圧力を前に、アンナハダが譲歩せざるを得なくなったとみられます。
2011年の「アラブの春」の先駆けとなったチュニジアでは選挙を経て同年末にアンナハダ主導の暫定政府が発足して以降、野党勢力が政治の「イスラム化」に反発。今年2月と7月に野党指導者が何者かによって相次ぎ暗殺されてからは対立が決定的となり、反政府デモが断続的に取り組まれてきました。