2013年9月26日(木)
介護保険で大幅負担増
来年通常国会法案提出狙う
厚労省社会保障審議会
厚生労働省は25日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護保険部会で、介護保険の利用者負担に関する二つの大改悪案を明示しました。来年の通常国会に法案を提出し、2015年4月から実施する方針です。
2割負担 高齢者の2割対象
介護保険の利用料は制度創設以来1割ですが、一定以上の所得があれば2割に引き上げる方針です。厚労省は、年金収入で(1)年間280万円以上(2)290万円以上―を対象とする2案を示しました。65歳以上の高齢者の約2割にのぼります。
同省は、利用料が一定額(世帯合計で月3万7200円)を超えた分を払い戻す「高額介護サービス費」制度があるため、「(利用料が)必ず2倍になるわけではない」と弁明しました。
しかし、在宅サービスの1人あたり平均利用料は、高額介護サービス費の半分以下のため、大多数の高齢者は軒並み2倍に跳ね上がります。(表)
特別養護老人ホームを利用している場合、高額介護サービス費に達するため、利用料は2倍にはなりませんが、月7千〜1万5千円もの負担増になります。
そのうえ同省は医療保険で「現役並み所得」(単身で収入383万円以上)とされている高齢者については、高額介護サービス費による負担上限を現在の3万7200円から4万4400円に引き上げる方針を示しました。
特養 預金あれば軽減なし
厚労省は、住民税非課税世帯を対象に特別養護老人ホームなどの施設の居住費・食費を軽減する「補足給付」について、一定以上の預貯金があれば対象から外し、大幅な負担増を求める方針を示しました。預貯金の基準について単身で1千万円、夫婦で2千万円とする案を示しました。
同省は、利用者が特養ホームを退所して在宅で暮らす場合にも、国民年金(年79万円)と預貯金1千万円があれば「10年間生活できる」との計算をもとに基準を算出したと説明。10年以上は生きるなといわんばかりの姿勢を示しました。
所得が低くても預貯金などがあれば、施設の利用料に加えて居住費・食費を全額負担しなければならなくなります。特養ホームのユニット型個室(共用スペース併設)の場合、月4万2千〜6万7千円もの負担増となります。
しかも、利用者に預貯金や有価証券の写しを提出させ、申告に不正があった場合はペナルティーを科すとしています。
同省はまた、2千万円以上の不動産(居住用など。固定資産税評価額)がある場合にも、居住費・食費軽減の対象外とする方針を示しました。不動産を担保に貸し付けを行い、利用者の死後に不動産を売却して回収するしくみを導入するとしています。事務については外部委託を可能とする方向です。
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