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2013年9月26日(木)

きょうの潮流

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 登場人物はたった4人。音楽もなく、固定したカメラが写しだすのは家の中のみ。外の世界は、わずかな物音と声だけで表現されます。公開中の映画「日本の悲劇」です▼小林政広監督が、実際の年金不正受給事件に着想を得た、ある一家の物語。肺がんで余命いくばくもない父親(仲代達矢)は、亡き妻の遺骨と部屋に閉じこもり、「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」する決意を固めます。失業中で自分の年金だけが頼りの息子(北村一輝)にしてやれることは、これしかないと▼物語は父の回想と現在を行き来しながら進行します。モノクロの画面が唯一、カラーになるのは、息子夫婦が初孫を連れてきたときの回想シーン。この一家にも、こんな幸せなひとときがあったのだと、わずかに救われた気持ちになります▼何が一家を追い詰めたのか。徐々に浮かび上がるのは、リストラ、うつ病、離婚、介護、東日本大震災です。何とかバランスを保っていた一家をまたたくまに悲劇のどん底に陥れる現代の日本。小林監督が8月25日号の「しんぶん赤旗」日曜版に登場し、こう語っています。「あの家族は特殊じゃない、どこにでもいると言いたかった」▼いまや日本で働く人の3人に1人が非正規です。さらに雇用支援策を「雇用維持型」から「労働移動支援型」へ移行させ、「解雇の自由」を推し進めようとする安倍政権。正社員を取り巻く環境も決して安泰ではありません▼このままでは終われません。暴走を許せば「日本の悲劇」がますます普遍的なものになります。


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