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2013年9月24日(火)

ドイツ総選挙

メルケル与党が第1党

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 【ベルリン=片岡正明】ドイツ連邦議会(下院)選挙が22日、投開票され、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が得票率を大きく伸ばし、半数近くの議席をとりました。メルケル首相の続投はほぼ確実となりました。これまでの連立相手だった自由民主党(FDP)は議席獲得に必要な得票率5%を超えられず、戦後初めて議席を失いました。


首相続投  社民と大連立の動き

 野党は最大の社会民主党(SPD)が得票率をやや伸ばし、左翼党と90年連合・緑の党は後退しました。野党3党の議席の合計は、CDU・CSUをわずかに上回りました。

 一方、ユーロ離脱を主張し、旋風を巻き起こした「ドイツのための選択肢」は短期間に4・7%の得票率をあげたものの、議席にはおよびませんでした。

 SPDと緑の党は左翼党との連立を拒否しているため、CDU・CSUとSPDの二大政党による大連立の可能性が強まっています。CDU・CSUと緑の党による連立の可能性も残されています。

 SPDはユーロ圏で債務危機を抱える国々に、より寛容になるべきだと主張しています。南欧の債務危機諸国は大連立政権になった場合、これまでメルケル政権が主導してきた緊縮政策実施の押し付けの政策が緩和されると期待しています。


ドイツ連邦議会選挙 主要政党の得票率と議席数
                 得票率(前回比)       議席数(現有)
キリスト教民主・社会同盟 41.5%(+7.7ポイント)   311(237)
社会民主党         25.7%(+2.7ポイント)   192(146)
左翼党            8.6%(−2.3ポイント)    64( 76)
90年連合.緑の党     8.4%(−2.3ポイント)    63( 68)
自由民主党         4.8%(−9.8ポイント)     0( 93)
ドイツのための選択肢    4.7%               0(  0)
(議席総数は630。暫定公式結果などによる)


 ドイツ連邦議会の議席配分 基本定数598人。政党(比例代表)と候補者(小選挙区)に投票します。比例代表での得票率に応じて各政党の議席配分数を決め、そこから299の小選挙区の当選者を差し引き、残りを各党の比例名簿上位から割り当てます。小選挙区当選者が議席配分数を上回った場合、超過議席となります。今回の選挙から、超過議席のない政党には比例代表の得票率に応じた調整議席が与えられます。


解説

首相人気押し出しが奏功

格差拡大などに批判も

 キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が1990年以来の得票率で単独過半数に迫る勢いをみせた大きな要因には、メルケル首相の人気があります。

 ドイツ公共第2テレビ(ZDF)は投票所の出口調査で、前回2009年の選挙から4年間のメルケル氏の実績を「よくやった」と評価する有権者が80%で、同氏に対する信頼度も68%とCDU・CSUの信頼度をはるかに上回っていると分析しました。

 メルケル氏は東電の福島第1原発事故を機に問われた原発の安全問題で、迅速に「脱原発」へ転換。好調な経済に支えられ、選挙戦でも「私たちが東西ドイツ統一後、最も成果をあげた政権だ」と実績を訴えました。

 しかしCDUのポスターでメルケル首相の顔ばかりが目立つなど首相人気にあやかった選挙戦には、争点隠しという問題もありました。好調な経済の裏で貧困労働が増加し、貧富の格差が広がっています。

 こうした中、12年には分裂の危機に直面し、支持率が一時5%にまで下がった左翼党は、富裕税や全国一律の法定最低賃金の導入を訴えて得票率を8・6%まで回復。議席を増やした社会民主党(SPD)が一番強く訴えたのも社会的公正でした。

 欧州単一通貨ユーロを使うユーロ圏で債務危機に陥った南欧諸国に緊縮と労働市場改革を求めるメルケル氏の対応には、批判が強まっています。

 首相続投が確実視されるメルケル氏がこれらの問題にどう対処するのか、引き続き問われます。

 (ベルリン=片岡正明)


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