2013年9月23日(月)
きょうの潮流
ヤンバルクイナをはじめ、固有種が多く生存し、「東洋のガラパゴス」とも呼ばれる山原(やんばる)の森。沖縄の北部にひろがる緑豊かな一角に東村(ひがしそん)高江区はあります▼160人ほどが暮らす小さな集落は、国内最大の米軍専用施設、海兵隊のジャングル戦闘訓練場に囲まれています。ベトナム戦争当時、米軍は訓練場内につくった「ベトナム村」に住民を駆り出し、現地人の役目をさせました▼村の周りに枯れ葉剤をまき、民家を狙って焼夷(しょうい)弾を落とす。記事を書いた元記者は「米軍は高江の住民をほんとうのゲリラとみなして訓練を行っていた」と話しています▼復帰後40年たったいまも、高江の空は変わりません。わがもの顔で飛び回り、なめるように旋回する米軍のヘリ。さらに取り囲むように6カ所の離着陸帯(ヘリパッド)が新設されようとしているのです。自分たちは「標的」なのか。不安は、オスプレイの配備・訓練の強行で頂点に達しています▼その高江住民のたたかいや、米軍普天間基地を一時的に封鎖した沖縄の怒りを追った記録映画「標的の村」が各地で上映中です。伝えられない沖縄の現実や思いが胸にせまります。足を運ぶ人が増え、期間を延ばす劇場も出てきました▼高江ではきょうも座り込みがつづきます。工事の音を聞き、ヘリが飛ぶ空を見上げながら。「通行妨害」として国から訴えられた11歳の少女の決意です。「お父さんとお母さんが頑張れなくなったら、私が引き継いでいく。私は高江をあきらめない」