2013年9月22日(日)
維新「大阪都」構想 大破たん
大激戦の堺市長選(29日投票)
「『大阪都』構想はダメ。金を(大阪府に)集めて、ロクなことせえへん。竹山(修身(おさみ)候補)さんが勝たなあかん」(63歳・男性)―。街頭でそんな声も聞かれるほど大激戦・大接戦の大阪府堺市長選(29日投票)。最大の争点となっている「大阪都」構想について、「維新の会」は何のメリットも示せないばかりか、「堺はなくならない」と声を張り上げ、市民を欺こうとしています。しかし、広範な市民の共同の前にごまかしが通用しなくなっています。(竹原東吾)
堺市「廃止」と法律で明記
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20日、帰宅時間帯の堺東駅前(堺区)。
「堺を分割されたくない、歴史のある町やから。橋下(徹大阪市長)さんの勝手にしてもろたら困る」。竹山候補を支援する人たちが配布するチラシを受け取った70代の女性=堺区=はこう話します。
「維新の会」肝いりの「大阪都」構想。堺市をなくして、いくつかの特別区に分解、堺の政令指定都市としての権限と財源を大阪府(都)に吸い上げて、カジノ建設や「関空リニア」など大規模事業を推進することが狙いです。東京都の制度をもとにすると、堺市の市税収入約1300億円のうち、約460億円が府に吸い上げられるという試算もあります。
この道理のないやり方に市民の怒りが集中。市長選では「堺をなくすな」「堺はひとつ」を合言葉にした市民の共同が党派を超えて、大きく広がっています。
共同の広がりにあせった「維新の会」は「堺がなくなる、消える、つぶれることはありません」(松井一郎大阪府知事)、「うそ八百」(橋下氏)などと連日の釈明に追われています。しかし、これこそ「うそ」です。
堺市を法的に「廃止」=なくさないとできないのが「大阪都」です。「大阪都」の実現に必要不可欠だとして維新が国会に働きかけてつくった「大都市地域特別区設置法」は、第1条に「関係市町村を廃止し、特別区を設ける」と明確に記しているからです。
橋下氏自身がつぶさない“証拠”として持ち出しているのは、「名前が残るか心配だったら、名前残しますよ。『大阪都堺北区』『大阪都堺南区』でもいいじゃないですか」…。こんな陳腐な理屈です。
「都」構想の利点示せず
堺市が「都」に参加する利点を、何一つ市民に示せていないのも特徴です。
橋下氏は「この狭い大阪に大阪府知事、大阪市長、堺市長、この3人のお金と力を持ったリーダー、3人も並んでいる必要ない」「堺という殻に閉じこもるのか、それとも大阪が一つになって『ワン大阪』で世界に羽ばたいていくのか」などと訴えていますが、具体性のかけらもありません。
せいぜい、2020年の東京オリンピックに便乗して、「『大阪都』構想で、オリンピックを大阪に呼べるような、そんな大きな自治体、大きな都市をつくりたい。このままいけば東京一人勝ち」(15日)などと売り込むのが精いっぱいです。
19日夕刻、深井駅(中区)前。
「子育てならナンバーワンといえる町にしたい」。竹山候補が街頭演説で、真っ先に取り上げたのは子育て支援でした。中学3年生までの医療費助成の継続、小中全学年の普通教室にエアコンの導入を―。
竹山候補はきっぱり語りました。「堺の税金は、みなさん方の医療や福祉や健康、そして町づくりに使う。かゆいところに手の届くような行政をやっていきたい。『大阪都』構想は、市民にとって、百害あって一利なし」
「自治都市守る選挙」
「都」構想のメリットを示せない「維新の会」が言うに事欠いて、しきりと持ち出すのが「自民党も民主党も、共産党もみんな手を組んでいる」という“野合”批判です。なかでも橋下氏は「酢豚のパイナップルと共産党が大っ嫌い」などと標的を共産党に絞って悪罵を投げつける異様さです。
「維新の会」は竹山候補が「共産党公認」というデマを飛ばしてまで、市民共同の分断を図ろうと躍起です。しかし、堺市を守る市民の共同の前には通用しません。
19日夜、竹山候補の演説会。自民党の堺市議がこんな訴えをおこないました。「自民党と共産党が一緒になったわけじゃない。今回の選挙は、自民党も共産党も民主党も無所属も何も関係ない。自治都市・堺を守る選挙だ」
日本共産党も加わる「住みよい堺市をつくる会」は平日は毎日、全駅頭宣伝を大規模に展開しています。「都」構想批判、経済活性化・雇用確保、歴史文化のまちづくり―日替わりのテーマでビラを配布。対話・支持拡大も急速に広げ、竹山候補の勝利に向けて全力を尽くしています。