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2013年9月19日(木)

TPP関税交渉本格化

重要5品目も対象に

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 環太平洋連携協定(TPP)交渉の首席交渉官会合が18日、21日までの日程でワシントンで始まりました。10月にインドネシアのバリ島で開かれるTPP首脳会合に向け、交渉を加速する狙いです。また、関税の撤廃・削減を扱う「市場アクセス」分野の作業部会も20日から開かれ、日本は関税撤廃の提案を米国などと交換する見込みです。 (北川俊文)


 関税交渉は、2国間で提案(オファー)と要求(リクエスト)を合意するまで何度も取り交わす方式です。2国間交渉の結論を多国間でまとめる方向だとされます。12カ国の間には、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を既に結んでいる2国間の組み合わせもあります。米国は、既存の協定がある国とは改めて交渉しない方針です。

農産物輸出大国相手

 日本は、シンガポールやメキシコなど7カ国とEPAを結んでいます。新規の関税交渉は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国が相手です。いずれも農産物輸出大国です。

 日本政府は、重要農産物5品目を守るとしています。(1)米(2)小麦・大麦(3)牛肉・豚肉(4)乳製品(5)砂糖―を関税撤廃の対象から除外するということです。しかし、農産物輸出大国が相手の交渉は容易ではありません。

 5品目といっても、関税分類の細目(タリフライン)では、536種になります。米だけでも、玄米、精米、砕米、米粉、各種「調整品」など58種に細分されています。

 TPP交渉は、関税撤廃が基本原則で、高水準の自由化率を目指しています。自由化率とは、タリフラインでみて、関税を撤廃するものが全体の何%を占めるかという割合です。日本のタリフラインは全体で約9000種あります。5品目の536種で、全体の約6%です。5品目を守るだけで、自由化率は最高でも約94%にとどまります。

従来水準で済まない

 日本がこれまでに結んだ各国とのEPAをみると、10年以内に関税を撤廃するタリフラインの割合(自由化率)は、84・4〜88・4%です。関税撤廃の例外としたものは、全体の10・9〜15・6%です。どのEPAでも関税を撤廃したことがないものは940種(同約10%)です。そのうち、農林水産物は、5品目にコンニャクや雑豆などを加えて、834種(同約9・2%)です。

 日本政府の最初の提案は、自由化率を80%前後にとどめ、重要5品目の扱いを「未定」にするとみられています。これに対し、フロマン米通商代表は来日中の8月19日、「われわれはもっと野心的な協定を目指している」と指摘しました。政府資料によっても、90〜95%を即時撤廃し、残りも7年以内に段階的に撤廃すると主張する国が多数です。そもそも、日本政府は米国との事前協議で、農産物を含むすべての品目を交渉対象にすると約束しているのです。

 高い水準を目指すTPP交渉で、しかも農産物輸出大国の4カ国を交渉相手にして、従来のEPAの水準ですむとは考えられません。政府資料でさえ、「従来わが国が締結してきたEPAにおいて、常に『除外』または『再協議』の対応をしてきた農林水産品(コメ、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産品等)を含む940品目について、関税撤廃を求められる」と述べています。

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