2013年9月16日(月)
NHK日曜討論
山下書記局長代行の発言
日本共産党の山下芳生書記局長代行は15日、NHK「日曜討論」に出演し、福島第1原発の汚染水問題や消費税増税などについて、与野党の代表と討論しました。
東京オリンピック開催
平和・友好促進の五輪精神を暮らし・環境との調和が大事
番組は冒頭、56年ぶりの東京オリンピック開催の意義がテーマになり、山下氏は次のように語りました。
山下 国民みんなが喜べるオリンピック、パラリンピックにするために、二つのことが大事だと思います。
一つは、スポーツを通じて国際平和と友好を促進するというオリンピック精神の実現に努めることです。そのために、政府としては積極的に対話と平和外交を展開して、とりわけ、アジア近隣諸国との緊張を打破していくということに取り組むべきだと思います。
もう一つは、国民や東京都民の暮らし、環境と調和のとれた無理のない取り組みを進めることが大事です。リニア新幹線、東京外環道、新東京駅など便乗型の大型開発の前倒しが取りざたされていますが、やるべきではないと思います。
原発汚染水・首相発言
制御不能の非常事態だ、収束宣言撤回し国あげ対策を
福島第1原発の汚染水問題で安倍晋三首相が「状況はコントロールされている」と発言したことについて、自民党の高村正彦副総裁は「極めて適切であった」と擁護しました。
山下 私は安倍総理の発言に怒りを覚えました。状況がコントロールされているなら、なぜ汚染水漏れ事故が繰り返されるのか。そのために、福島の漁業者は9月から予定していた試験操業も延期したわけです。こんな間違った認識を前提にしていたら、ちゃんとした対策はとれない。三つの提案があります。
一つは、福島第1原発はコントロールされていない、制御不能な非常事態にあるということを共通認識にして、国をあげて汚染水対策にあたること。そのために収束宣言を撤回すべきです。
二つ目に、現在、汚染水がどこからどう漏れているかわかってない。近づくことも困難ですから。ですから、政府の責任で、内外の英知を結集してまず全容を解明すること。そのうえで抜本対策を組み立て直すことです。
三つ目は、いま規制庁が再稼働のスピード審査のために人員を増やしていますが、そうではなくて、汚染水対策にこそ、人も資源も集中して投入すべきだと思います。
民主党の長妻昭幹事長代行が「我々も反省する点はある」と表明したのを受け、自民党の高村氏は「やっぱり(民主党政権は)初動を誤った。今度、遅ればせながら国が前面に出ることにした」と述べ、対応の遅れを民主党の責任にすりかえました。
消費税4月増税実施
国民所得は減り続けている、まず増税は中止すべきだ
消費税の来年4月の増税について、自公民のほか、日本維新の会の平沼赳夫国会議員団代表も「(昨年の民自公の)3党合意も、やむを得ない」と容認しました。
山下 まず、増税は中止すべきだと思います。なぜなら、今、国民の所得が減り続けています。1997年をピークにして労働者の平均年収は70万円も減りました。それから、直近の14か月だけを見ても、月給が前の年を下回り続けています。だから、国民は景気が回復したという実感はありません。
そんなときに消費税を8%(に上げて)、これは8兆円、史上最大の増税を押しつけたら暮らしが壊れるだけじゃなくて日本経済が壊れる。消費税以外の税収も減って財政もよくならない。
日本共産党は先日、(来年)4月1日からの消費税増税反対の一点で力をあわせようというアピールを発表しました。すべての政党、国会議員に届けて、経済団体とも懇談をはじめています。街頭で署名もやります。国民生活と日本経済を守るために力をあわせていきたい。
庶民から8兆円吸い上げ、大企業に5兆円ばらまく理不尽
法人税減税について、自民党の高村氏は「なかなか難しい。当面、検討するかしないかは別にして、先のテーマになる」と語りました。
山下 私は、あれこれの経済対策が出てくるのは、いま増税したら景気が悪くなるということを自ら認めているようなものだと思います。だったら、増税しなければいいじゃないかということです。しかも、この経済対策の中身がひどい。発表された骨子を見ますと、オリンピックに便乗した公共事業、それから、近い将来に法人税を5%ないし10%軽減すると、ちゃんと書いてある。要するに、消費税で庶民から8兆円吸い上げて大企業、大手のゼネコンに5兆円ばらまくということですから、こんな理不尽はないと思います。国民の所得が減り続けていることがデフレ不況の一番の原因ですが、その国民から新たに8兆円、所得を奪うわけです。
一方、この10年間で内部留保が100兆円増え、お金の使い方に困るほどためこんでいる大企業に減税しても、景気はよくなるどころか悪くなります。消費税の増税を断念することが最大の景気対策だと思っています。
シリア化学兵器廃棄、米ロ合意
国際世論が大きな力を発揮、シリア政府は誠実に履行を
シリアの化学兵器の廃棄をめざす枠組みの米ロの合意について、山下氏は次のように述べました。
山下 化学兵器の使用というのは、誰であれ、人道上、国際法上、許されない残虐行為です。事実の解明は国連が進めている途上にありますので、国連安保理の決議もないまま、一方的に攻撃を強行することは明白な国連憲章違反であり、強く反対するという態度を表明してきました。日本政府もそういう立場をはっきり明示するべきだと思います。
ロシアの提案が、問題の政治的解決を示したものとして、私たちも歓迎し、支持しています。シリア政府が積極的にこれに合意して、誠実に履行することを求めたいと思います。
国際世論が今回、大きな力を発揮したと思います。イギリスもフランスも、アメリカの軍事介入の動きに同調しようとしましたが、国内の世論はやはり反対が大きく上回った。イラク戦争以来、紛争の軍事介入による解決はできないと、国際社会の世論が大きく動かしつつあることに確信をもつべきだと思います。