2013年9月13日(金)
闇を許すな 秘密保護法案
「防衛秘密」 10年で6倍
大臣指定39→234件 “歯止め策”意味なし
安倍政権が臨時国会への提出を狙っている国民の知る権利を侵害する「秘密保護法案」。厳罰の対象となる“秘密”について、「別表」に羅列することで秘密を限定しているかのようにみせ、「政府に不都合な情報はなんでも“秘密”にされる」との批判をかわそうとしています。ところが、「別表」方式の“参考”にした自衛隊法の「防衛秘密」の運用状況をみると、秘密の数がこの10年間で6倍と年を追って増え、“秘密が何かも秘密”という危険な実態がわかりました。 (矢野昌弘)
取材・調査 知らぬ間に“罪”
「秘密保護法案」は(1)防衛(2)外交(3)外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止(4)テロ活動防止―の4分野について、行政機関が「特定秘密」とする情報を職員が漏らしたり、知ろうとする行為を最高で懲役10年の厳罰で取り締まる法案です。
自衛隊法を参考
法案の参考とされたのが、自衛隊法です。
秘密保護法案の骨格をとりまとめた「有識者会議」では、「自衛隊法の防衛秘密の仕組みと同様に、別表等であらかじめ具体的に列挙した上で、高度の秘匿の必要性が認められる情報に限定する趣旨が法律上読み取れるように規定しておくことが適当」としています。
秘密になりえる情報をあらかじめリストにして明記する別表化が“なんでも秘密”の歯止めになるというのです。
しかし、自衛隊法別表第4に相当する法案の「別表(防衛に関する事項)」をみると、自衛隊に関する情報は「自衛隊の運用またはこれに関する見積もり、計画、研究」「防衛力の整備に関する見積もり、計画、研究」などと、対象がきわめて漠然としていて網羅的です。外交など他の三つの分野についても同様です。
「別表」づくりが、無限定の「特別秘密」の歯止めにならないことは明らかです。
何が秘密かも…
日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の調査によると、防衛相が指定した「防衛秘密」の推移(グラフ)を見ると、2002年に39件だった事項(タイトル)は、10年後の12年には、234件と6倍に増えています。
防衛秘密に指定された事項が、何についての情報かは国民には秘密とされています。
“何が秘密かも秘密”の情報が増えることで、市民の調査活動や記者の取材・報道が、知らぬ間に罪に問われる事態となりかねません。
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