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2013年9月12日(木)

きょうの潮流

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 きょう9月12日は『群書類従(ぐんしょるいじゅう)』の編さん・刊行で知られる江戸時代後期の盲目の国学者・塙保己一(はなわほきいち)が亡くなった日、保己一忌です▼『群書類従』は、古代から江戸初期までの歴史書や文学書など1277種、666冊を約2万枚の版木に彫りつけ収録した一大双書。古くは『十七条憲法』から『伊勢物語』『紫式部日記』『将門記』などの名著も含まれ、今も貴重な文献として保存、活用されています▼6万冊の蔵書を全て記憶していたという保己一。病で7歳の時に失明した保己一が、どうやって膨大な書物を読み込み、体系づけ、校訂できたのか▼「師や学友に音読してもらっては一字一句を頭に刻みつけ、一冊ずつ会得しました。学問の継承のため、古書が散逸、焼失するのを憂い、後世に残したい一心で各地の本を収集したと思います」(塙保己一史料館・温故学会理事長、齊藤幸一さん)。保己一の志に共鳴した大名、商人も書籍や資金の提供を惜しまず、町内には音読を申し出る人が後を絶たなかったといいます▼アメリカの教育家で盲ろうのヘレン・ケラーも保己一を手本にして育ったと語り、1937年に来日した際は温故学会を訪れ、保己一の像と愛用の机に触れて遺徳をしのびました▼偉大な仕事を成し遂げながらも〈何事も見えぬになれてなげかねどふじとし聞けば涙こぼるゝ〉と、富士山への思いを歌った保己一の悲しみ。読書の秋です。保己一が生涯をかけて編さんした古書の一端をひもとけば、新たな感慨がわいてきます。


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