2013年9月8日(日)
きょうの潮流
「激動ではなくて激突の情勢。“自共激突”なんですよ。ほんとうにそうなんでね」と経済同友会終身幹事の品川正治さん▼その思いを、もう少し聞きたかったのですが、すでに体調不良。「体調がよくなったらまたお話を聞かせてください」。それが品川さんとの最後の会話でした▼「自民党政治の対決軸は共産党だけ。政策も正しい。だから自信をもって」。選挙のたびに、品川さんに励まされました。東京都議選、参院選での共産党躍進の感想を聞けなかったのが、残念でなりません▼同僚記者と品川さんをしばしば訪ねました。いつも2時間から3時間ほどのインタビュー。印象に残るやりとりがいくつもあります。「閉(へい)塞(そく)感を打ち破る年にしたいですね」と水をむけた新年用のインタビューでのこと。「ぼくは、ちょっと違うと思うんだよね」と切り出した品川さん。話の展開がどうなるかと不安に▼すると「閉塞感という言葉が使われなくなるほど抑圧された人々が本格的に動きだすのでは。怒りは臨界点に達している」。品川さんが注目したのは「アラブの春」や貧困と格差の是正を求める世界的なうねり、米軍基地をめぐる沖縄の島ぐるみのたたかいなど▼「戦争を人間の目でみたのが憲法9条です」と改憲にはからだを張って反対し「経済も人間の目で考えるべきだ」と主張。「つきつめていくと、資本主義というシステムそのものにぶつかるんだよね」「いま経済を一から勉強しているんですよ」。あくまで真摯(しんし)な財界人でした。