2013年9月7日(土)
堺市長選15日告示
「維新」による乗っ取り許さない
竹山さんで暮らし・自治守る
「大阪都」構想を掲げる橋下・維新による「堺市乗っ取り・堺市つぶし」を許すのか、「広範な市民の共同」で暮らしと自治を守り抜くのか―。15日告示、29日投票の堺市長選挙は、大阪市とともに堺市を廃止する「都」構想など、維新の野望を「自治都市・堺」の歴史を誇る市民の結集で打ち砕く、大義あるたたかいです。(藤原直)
「堺のことは堺で」
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市長選は「都」構想への参加に反対する広範な市民・団体、日本共産党などが支援する現職の竹山修身市長と「日本維新の会」傘下の地域政党「大阪維新の会」が公認する新人の西林克敏前市議との事実上の一騎打ちとなる見通しです。
「われわれは本丸中の本丸の都構想に向けて進んでいかなければいけない。まずは堺市長選で是が非でも勝利をおさめなければいけない」。大阪維新代表の橋下徹大阪市長は、こう述べて異常な執念を燃やしてきました。
参院選で総選挙時の得票数を半減させたことから、維新の存亡をかけたたたかいと位置づけているのです。
自身が直接堺市に乗り込み、8日までに全7区での対話集会を実施。維新は、府内約100人の地方議員の総動員だけではなく、全国会議員に3回以上の堺入りを要請したり、「2人以上の秘書を堺市に派遣するなどの指示を出し」た(「産経」)と報じられています。まさに一自治体をつぶすために党の総力を挙げているのです。
これに対し、竹山氏は「都構想で堺が二つや三つに分断され、税金が府(「都」)に吸収されるなどということはあってはならない。都構想は百害あって一利なしだ」と批判し、「みなさんの税金は、みなさんの生活やまちづくりに生かしていく」と訴えています。
竹山氏は前回当選後、市民の声を取り入れて堺東駅前再開発ビル建設計画(350億円)などの大型開発を中止。子ども医療費助成を中学校卒業まで拡充し、国保料を4年連続引き下げる(合計8282円)など暮らし応援施策を前進させてきました。
先月末には「『堺はひとつ!堺のことは堺で決める!』を原点として、堺市の発展と市民生活の向上を実現するためのマニフェスト」を発表。市民の要望にさらに応え、おでかけ応援バス(65歳以上は100円)の全日利用や下水道料金の値下げ、小中全学年へのエアコン導入などの公約を打ち出しています。
約束破りは橋下氏
維新は、こうした政策にはほとんどケチをつけることができず、前回市長選(2009年9月)で竹山氏が当時知事だった橋下氏の応援を受けたことをあげ「裏切り者」などと攻撃しています。
しかし、竹山氏が橋下氏と決別するきっかけとなった「都」構想は前回市長選後の10年1月に橋下氏から打ち出されたものです。「大阪維新の会」が結成されたのも同年4月のことです。公約にもなかった市の廃止に対して、市民の代表である市長が、市民との対話を踏まえ「堺をなくすな」ときっぱり反対しているのは当然です。
竹山氏は当選直後から「84万人の市民の利益が大事であって場合によっては(橋下氏と)対峙(たいじ)することもある」(民放テレビ)と語っていた姿勢を貫いただけであり、むしろ4年前の市長選で「対等な立場で、府・市連携を進めます」(選挙公報)としていた橋下氏こそ約束破りです。
市民の共同は当然
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橋下氏は「竹山市長は自分の地位を守るために自民にも民主にも応援を受けようとして、あろうことか共産党の応援まで受けている」などと「野合」攻撃を展開。しかし、問われているのは、堺市民の暮らしと自治をつぶす維新の手から、堺市民を守れるかどうかです。
堺では「『大阪都構想』から堺市を守る自由と自治・堺の会」のシンポジウムや市民団体の「堺はひとつ」運動への賛同署名など堺を守るためのさまざまな取り組みが進められてきました。竹山市長を自主的に支援する「住みよい堺市をつくる会」の構成団体でもある日本共産党が、広範な市民と「堺つぶしノー」などの一致点で共同し竹山氏を応援するのは当然です。
橋下氏は「竹山市長は共産党公認候補」「共産党の市長を誕生させるかどうかの一点でご判断を」(5日)などとでたらめな反共攻撃をエスカレートさせていますが、国民と日本共産党との一点共同は全国で広がっています。「共産党だからダメ」というのは時代遅れです。
いいかげん都構想
「大阪都」構想のプランは、クルクル変わるいいかげんなものですが、竹山氏は、東京都の制度により試算すると、堺市が「大阪都」の特別区になった場合、堺の市税収入約1300億円のうち約460億円(約35%)が「都」に吸い上げられると説明しています。
橋下氏がいくら「堺は壊さない」とごまかしても「都」構想が堺市を廃止して政令市としての権限と財源を奪うものであることは動かしがたい事実です。
しかも、橋下氏が「大阪というまとまりでカジノを含んだリゾート施設を大阪湾に呼び込む話も堺は取り残されている」などと訴えているように維新が「大阪都」で進めようとしているのは、橋下氏が大好きなカジノの誘致や大阪市域を中心とした大型開発など破たんした政策の焼き直しでしかありません。
求められているのは、堺市の廃止ではなく政令市の権限と財源を生かした市民の暮らしのいっそうの充実であり、橋下氏の声ではなく、市民の声で動く「自治都市・堺」の発展です。