2013年9月6日(金)
安倍政権の待機児童対策
消費税頼みで限界・矛盾
共産党 組み替えで予算確保提案
安倍政権は「待機児童解消加速化プラン」として2014、15年の2年間で20万人分の保育の定員増を図るなどの待機児童対策を打ち出しています。しかし、その財源は消費税増税頼みで、待機児童解消に向けた抜本的な取り組みにはなっていません。
民自公3党合意
子育て支援の財源を消費税増税でまかなう方針は、民主党政権下で民自公の3党合意によって強行された「税と社会保障の一体改革」法で決まったものです。待機児童対策など子育て支援は急がれますが、子育て世帯にものしかかる消費税増税がなければ予算が確保できないという矛盾を抱えます。今回の厚労省の概算要求でも、その枠にしばられ、待機児童対策は従来の枠にとどまっています。
厚労省は、「保育所などの受け入れ児童数の拡大を図る」と明記したものの、財源は「消費税率引き上げの判断を踏まえて、予算編成過程で検討する」とするにとどまりました。
そのため、保育対策関係予算は、前年度比326億円増の4937億円どまり。そのうち民間保育所運営費は、前年度比288億円増の4540億円。保育所受け入れ児童数の拡大(約7万人)などを盛り込みました(公立保育所の運営費は、一般財源として交付されます)。
概算要求の規模は前年度並み。定員増に伴う運営費が手当てされているだけです。
この間、私立認可保育所の増設に活用されてきた「安心こども基金」は、今年も概算要求には盛り込まれず、「予算編成過程で検討する」とされたままです。
“ビルの一室”
もともと安倍政権の「待機児童解消加速化プラン」では、年10万人分の定員増を目指すものの、“ビルの一室”など保育の質を切り下げ、安上がりに済ませることを狙っています。
しかし、認可保育所の増設による年間10万人分の定員増に必要な予算は6000億円(国と地方あわせて)です。日本共産党は、大企業優遇や軍事費などごく一部の予算を組み替えるだけで予算確保は可能だと指摘しています(13年参院選保育政策)。子育て世代に重くのしかかる消費税を増税しなくても認可保育所増設で定員増を図ることは可能です。
消費税増税を受忍しなければ子育て支援も望めない、受け入れ先は増えても質は低下するという安倍政権の子育て支援策の限界が表れています。
(鎌塚由美)