2013年9月1日(日)
ブラック企業対策相談会
過労で眠れずおう吐 社宅で男女同居命じられ
被害者「会社の姿勢正したい」
違法な働かせ方で労働者の心身を危険にさらす“ブラック企業”の被害者を支援しようと、弁護士らによる被害相談会が31日午後、東京都内で開かれました。18社で働く20人が訪れ、長時間労働や残業代不払い、セクハラなどの被害の相談を寄せ、「雇用のルールが守られる会社に変えたい」などと訴えました。
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相談会を主催したのは、7月末に発足した「ブラック企業被害対策弁護団」(佐々木亮代表、団員約130人)。弁護士7人が相談員を務め、個別に被害者の訴えを聞きました。
都内企業で働く20代女性は「毎日11時間以上、週6日働いても総支給で月約16万円。疲れて眠れずにおう吐し続けた夜もある」と、入社時の説明と違う詐欺まがいの雇用契約を相談。さらに、家賃3万円の社宅で男女同居を命じられ、「ふすま1枚で隣は男性。エアコンが1台しかなく、ふすまをあけて風を通している」と涙で声を詰まらせ語りました。
相談に応じた舩澤弘行弁護士は、「会社の行為は違法性が高く、納得できないのはもっとも。社宅の件はセクハラで賠償も検討する必要がある」と指摘。女性は相談後、「違法だと気付けてよかった。会社の姿勢をただしたい」と話しました。
都内企業で働く女性(28)は、「会社は国の雇用助成金をもらっていて整理解雇できない。私の不正行為をでっちあげて解雇すると言ってきた」といい、自身の名誉を回復するとともに、同僚のためにも会社を変えたいと語りました。
相談会に先立つ講演で弁護団の戸舘圭之事務局長は、労働基準法が労働条件を「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充(み)たすべきものでなければならない」(1条1項)と定めていることを示し、ブラック企業が強いる「人間らしくない働き方」は違法だと解説しました。
弁護団は労働組合や支援団体などと連携して今後も被害実態の把握や救済に取り組む方針。5日午後6時半から、弁護団発足シンポジウム(参加費500円)を東京都千代田区の連合会館で開きます。