2013年8月28日(水)
被災地復興
「資金難が再建の壁」
仙台 被災者・研究者シンポ
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東日本大震災の住まい再建や、被災者の生活支援を考えるシンポジウムが27日、仙台市で開かれました。日本住宅会議の第29回サマーセミナー2日目の企画。被災者や研究者が、復興の現状を「資金難が住宅再建の壁だ」などと議論しました。
生活支援を考えたシンポジウムでは児玉善郎日本福祉大教授が、「仮設暮らしが長期化し、さまざまな問題が起きている」と提起。
宮城県女川町健康福祉課の佐藤毅課長は、心身と暮らしの包括的な支援を長期に行う必要性を強調し、社会福祉協議会や介護事業者などと連携した町の支援チームを紹介しました。
仙台市最大の「あすと長町仮設」(233戸)の飯塚正広自治会長は、月1回の健康相談会など独自の努力を語ったうえで、「予算がつかず、協力する病院の持ち出しになっている」と訴えました。
住まい再建やまちづくりを考えたシンポジウムでは新井信幸東北工業大准教授が、仮設のきずなを維持したいと飯塚会長ら仮設住民が提案した復興公営住宅計画を紹介して、計画を不採用にした仙台市の姿勢を「役所が先に決めて相談にのらない」と批判。姥浦(うばうら)道生東北大准教授は、行政が住民の意見を形式的に聞くだけになっている傾向があると述べました。
住民参加での復興を求めてきた石巻住まい連の佐立昭代表委員は、津波被害を受けながら国の復興事業から外れた石巻市渡波地区をあげ、既存の5省40事業をつぎはぎしてあてはめるだけでは復興できないと訴えました。
仙台市の荒浜移転まちづくり協議会の末永薫会長は「移転先の地価が被災宅地の倍以上。今の支援では家を建てることすらできない」と支援拡大を要望しました。
日本住宅会議の塩崎賢明理事長(立命館大教授)は「被災者生活再建支援金のベースが低すぎる。無駄な事業をやめるなどお金をうまく使えば、もっと合理的に支援できるはずだ」と指摘しました。