2013年8月28日(水)
消費税・集中点検会合
的を射た主婦連・山根会長の指摘
「貧困や格差 必ず拡大」
安倍晋三政権は26日から消費税増税が日本経済に与える影響を幅広く検証する「集中点検会合」を開始しました。安倍政権は来年4月に8%、再来年10月に10%へと消費税率を引き上げる予定です。その実施を最終判断するために、31日までの6日間で有識者60人から意見を聴くという大掛かりな取り組みです。
財界も連合も…
初日の会合では、米倉弘昌(よねくら・ひろまさ)経団連会長や古賀伸明(こが・のぶあき)連合会長、山根香織(やまね・かおり)主婦連合会会長など7人が出席しました。
米倉氏は、「予定通り(消費税増税を)実施すべきだ」と増税を推進する立場から、財界を代表する形で発言しました。古賀氏も、「法律に沿って実施するのが基本だ」と述べました。
一方、山根氏は消費者の立場から、「(消費税増税に)断固反対。給料が上がらない状態で増税を強行すれば貧困や格差が必ず拡大する」とし、来年4月からの消費税増税の中止を求めました。
賃金下落が問題
現在、日本経済は深刻な内需不足に陥っています。その原因は労働者の賃金が上がっていないからです。厚生労働省の「毎月勤労統計」によると、所定内給与は13カ月連続で前年同月比を下回りました。一方で、昨年暮れからの円安傾向で、エネルギーや食料品などを中心に消費者物価が上昇しつつあります。
賃金が上がらないのに物価が上がり始めている現状で、消費税増税を強行すれば、深刻な消費不況に陥ることは確実です。消費税増税推進の本田悦郎(ほんだ・えつろう)内閣官房参与は24日の民放番組で「日本経済は(3%の)増税にはまだまだ耐えられない」といわざるを得ませんでした。
とりわけ、低所得者層の負担ほど重くなります。まさに、山根氏が指摘したように「貧困や格差が必ず拡大」します。国民生活も日本の経済・財政も破壊することになります。
「国民感情」配慮いうが増税が大前提
安倍晋三首相は26日、外遊先のクウェートで記者団に対し、消費税増税について「誰かが判断をしなければならないから、最終的に私の責任で決めていく」と述べました。同日から始まった消費税増税の「集中点検会合」は、そのための「判断材料」と位置づけられています。
第1回の「集中点検会合」後の記者会見で、甘利明経済再生担当相は、記者から「この会合では増税の是非を議論するのか、増税の方法論を検討するのか」と問われ、「消費税を5%のまま中期的に一切さわらないということはありえない」と述べました。消費税増税は不動の前提なのです。
甘利経済再生担当相は、同じ会見で「集中点検会合」の意義について、「経済財政運営の上においても、国民感情の上においてもあらゆることを尽くして最終的に判断したという形になっている」と述べました。消費税増税の是非の参考にするのではなく、「国民感情」に配慮していろいろ検討したという形を取るために「集中点検会合」を行うという、姑息(こそく)な安倍政権の本音が表れています。(清水渡)