2013年8月28日(水)
自公、高校無償化の流れに逆行
所得制限、910万円で合意
自民、公明両党は27日、高校授業料の無償化制度への所得制限導入について、基準額を年収910万円とすることで合意しました。2014年度からの実施に向け、秋の臨時国会で関連法の改定を目指すことも改めて確認しました。文部科学省の試算によると、所得制限の対象となるのは高校生のいる世帯の約22%、生徒数で79万人程度の見通しです。
両党の政調会長が同日、国会内で会談し確認書を交わしました。所得制限の導入に伴って生み出される財源は約490億円で、両党は(1)低所得層に対し、返済が不要な給付型奨学金の創設(2)公立より授業料が高い私立への支援金加算(3)在外日本人学校への対象拡大―などに充てることで一致しました。
一方、所得制限の実施時期をめぐっては、全国知事会が22日、授業料の徴収システム整備が間に合わないことなどを理由に、14年度開始は困難と下村博文文部科学相に申し入れました。
これについて、文科相は27日の閣議後記者会見で、「自治体に担当者を派遣し、必要な支援を検討する」と表明し、具体的な制度設計は「9月中に示したい」と述べました。
国際的にも公立高校の授業料無償は当たり前になっています。日本政府は昨年9月に国際人権規約の高校・大学の無償化条項の留保を撤回しています。所得制限の導入はこれに逆行するものです。