2013年8月24日(土)

イスラム主義与党が労組の調停案受理へ

野党と対話なるか

　【カイロ＝小泉大介】チュニジアで最大与党のイスラム主義政党アンナハダと世俗野党勢力との激しい対立がつづくなか、アンナハダは２２日、中立政府樹立を柱とする労働組合の調停案を基本的に受け入れると表明しました。今後は、これにもとづく野党勢力との話し合いが実現するかどうかが焦点となります。

　アンナハダのガンヌーシ党首は組合員６０万人を擁する労働総同盟（ＵＧＴＴ）のアバッシ書記長との会談後の会見で、「われわれは野党勢力との対話を開始するため、ＵＧＴＴのイニシアチブを受け入れる」「政治危機は速やかに解決されるだろう」と表明しました。

　ＵＧＴＴは現在の暫定政府の退陣と中立的な内閣の樹立を実現し、同内閣が議会・大統領選挙を準備するという中身の調停案を示してきました。アバッシ書記長は２２日、アンナハダが対話開始にあたりいくつかの条件を出したことを明らかにするとともに、今後、それらを野党側に伝えると表明しました。

　これまで暫定政府退陣を拒んできたアンナハダが変化を見せたことは確かですが、対話により合意が得られるまでは政府を存続させる立場とみられ、即時退陣を求める野党側がすんなりと話し合いに応じるかは不透明な状況ともなっています。

　チュニジアでは２０１１年末にアンナハダ主導の暫定政府が発足して以降、世俗野党の反発がつづいてきましたが、今年２月と７月に野党指導者が相次ぎ暗殺されてからは、１０万人規模の反政府デモが取り組まれるなど対立はかつてなく深刻化しています。