2013年8月24日(土)
ルネサス
退職強要 再三“面談”
1カ月8回も 社員「理不尽だ」
1298人降格、整理解雇の脅しまで
半導体大手・ルネサスエレクトロニクスがいま、神奈川、山梨、山形など全国で工場閉鎖や縮小とあわせて、グループ全体で三千数百人を目標に早期退職を募集しています。社員に繰り返し“面談”を強要し、整理解雇すると脅しながら応募するよう迫っています。各地で工場閉鎖やリストラに反対するたたかいが広がっています。(行沢寛史)
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「会社としては、不退転の決意で今回の早期退職をやりきる覚悟である」
今月上旬、早期退職の対象者とされた社員に送られたメールの一節です。
ルネサスは昨年、5700人を目標に早期退職を募集し、約7500人が応募しました。今回のリストラはこれに続くもので、8月1〜7日で募集が始まったものの、目標に達しないことから、今月下旬まで期間が延長されています。
冒頭のメールは、この状況下で送られたものです。メールには、「募集想定人員に満たない場合の会社としての対応」についての書類が添付され、「会社として8月26日の週に組合に事業上解雇等の申し入れを行う予定です」と明記しています。
営業損益は黒字
「事業上解雇」とは、「会社業務の都合により剰員となったとき」などに実施する整理解雇です。事業上解雇の場合、特別退職一時金は支給されず、再就職支援サービスも利用できないとして、早期退職に応募するよう迫っています。
ルネサスは今年1〜3月期に営業損益が黒字となりました。7〜9月期でも黒字を予想する一方、リストラによるばく大な退職金を予定して、純損益では360億円の赤字を予想しています。
やめる道理ない
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社内では、早期退職の実施が発表される7月に先立って、6月下旬、課長級の職員が総合職に降格されました。電機・情報ユニオンが把握しただけでも、1298人に及びます。降格された社員を中心に、早期退職の対象になっているとみられ、事実上の指名解雇といえる実態があります。
ルネサスでは、ルネサス労働組合(電機連合加盟)との協定により、組合員に対する“面談”は2回までの上限があります。しかし、降格された社員は10月1日までルネサス労組に加入できず、面接の上限はありません。事実上の指名解雇をするために降格させて、繰り返しの“面談”で、退職強要できるようにしています。
降格されたある男性社員は、7月上旬からの1カ月間で8回の“面談”を繰り返され、退職を強要されました。男性は「会社のやり方は理不尽だし、やめる道理もありません。許せない」と語ります。
ルネサスの動きに対して、電機ユニオンは、退職強要をやめさせるよう労働局に助言・指導を申し立てています。
山梨・甲府工場の閉鎖に対して、日本共産党山梨県委員会は、横内正明知事あてに、事業所の継続を同社に強く要請するよう申し入れています。
電機ユニオンは、ルネサスがリストラをすすめれば、技術の低下をもたらし、ルネサスの再建もなく、雇用を守り、労働者を大切にすることこそ、国内産業、日本経済が発展する基盤になると主張しています。(面談の詳細)
ルネサス 正式名称は「ルネサスエレクトロニクス株式会社」。2010年4月にNECエレクトロニクスとルネサステクノロジが経営統合して誕生。半導体メーカー。日立製作所、三菱電機、NECなどが株主に名を連ねています。