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2013年8月22日(木)

主張

原発の汚染水漏れ

国と東電は対策尽くしたのか

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 東日本大震災での重大事故から2年半近くたっても収束のメドが立たない東京電力福島第1原子力発電所で、新たに300トンもの汚染水漏れが発覚、一部は海に流出した可能性もあり、衝撃を与えています。東京電力は、なぜ大量の汚染水漏れに気がつかなかったのか。汚染水漏れは相次いで発生していたのに、政府と東電はなぜ抜本的な対策をとらなかったのか。大量の汚染水漏れが発覚したあと、東京電力はあわてて同じ型のタンクを総点検するといいだしていますが、あまりにも遅すぎます。

汚染水問題は非常事態

 東京電力が300トンもの汚染水漏れを発表した20日、地元・福島県の佐藤雄平知事は「国家としての非常事態」だと指摘しました。相次ぐ汚染水漏れに続く今回の事態が、原発事故の危機的な事態を浮き彫りにしているのは明白です。原子力規制委員会は原子力事故の国際的評価尺度で「1」から「3」相当に引き上げました。

 発覚した300トンもの汚染水漏れは、25メートルプール1杯分にも匹敵する大量なものです。漏れ出しているタンクはわかりましたが、漏れ出している場所は特定できず、まだ漏れ続けているといわれます。漏れ出した汚染水は原発建屋内にたまった汚染水からセシウムや塩分を取りだしただけで、ストロンチウムなどの放射性物質はそのまま残る高濃度汚染水で、全部で24兆ベクレルもの放射性物質を含んでいます。タンクのある敷地から開けっ放しになっていた弁を通じて外に漏れ出した汚染水の大部分は地中にしみこんだと見られ、地下水によって海に流出する可能性があります。

 汚染水がためられていた鋼鉄製のタンクは、事故直後に建屋の地下にたまっていることがわかった大量の汚染水を処理するため急ごしらえした設備です。これまでも溶接していない鋼板の接続部分から汚染水漏れが続発していました。第1原発内にある1000基を超すタンクのうち約350基が同型です。今回は継ぎ目ではなく本体に亀裂などが生じた可能性もあり、事態は深刻です。

 汚染水の処理は福島原発事故に対応する上で決定的な問題です。事故を起こした第1原発には背後の阿武隈山系から毎日1000トンもの地下水が流れ込み、その一部は原発の建屋に流れ込んで大量の汚染水となります。高濃度の汚染水をくみ出さなければ、事故の対策は進みません。それ以外の地下水も敷地の地下で汚染されるので、そのままでは海には流せません。これまでもタンクや地下水槽からの汚染水漏れや、汚染された地下水の海への流出が問題になってきました。政府は汚染水対策を東電に任せ、東電は問題が起きれば応急対策を繰り返してきましたが、もはやそれでは通用しません。汚染水への抜本対策が不可欠です。

原発再稼働どころでない

 日本共産党の志位和夫委員長は、原発事故2年を前に現地を調査し、汚染水問題が深刻であり、科学的英知を結集するよう求めました。政府は東電任せを根本から改め、文字通り「国家的非常事態」として対策に当たるべきです。

 すでに誰の目から見ても成り立たないことが明白になった事故の「収束宣言」を撤回するのはもちろん、原発の再稼働や輸出などの推進政策は直ちにやめるべきです。


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