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2013年8月20日(火)

健康食品の規制緩和 動き急

関係者指摘「安全性・有効性が後退」

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 「血栓を溶かし、血液サラサラに」―。今は認められていない健康食品の表示の規制緩和が急ピッチで進もうとしています。研究者や消費者団体から批判が上がっています。(君塚陽子)


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(写真)「スッキリ」「サラサラ」…、いまはあいまいな表現が多い健康食品の広告

 安倍首相は「アベノミクス」の成長戦略第3弾スピーチで、「健康食品の機能性表示を解禁いたします。国民が自らの健康を自ら守る。そのためには、的確な情報が提供されなければならない」(6月5日)と述べました。

 機能性表示とは、食品やその成分が体や健康にどう働くかを示すもの。現在、「おなかの調子を整えます」などの表示ができるのは国が審査・認可した「特定保健用食品」(トクホ)のみ。ビタミン・ミネラルを一定量含む「栄養機能食品」は「カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です」などと表示例が決まっています。

 「機能性表示の解禁」は、これ以外の、いわゆる健康食品が対象です。市場規模は約2兆円といわれます。

企業目線の議論

 緩和をめざす発端は、今年1月に設置された安倍首相の諮問機関、規制改革会議です。医療・健康ワーキンググループでは「(トクホ認可は)時間がかかりすぎ」「事業者のインセンティブ(やる気)が阻害されないような表示を」などの議論に終始しました。

 同会議の答申は、「機能性表示を可能とする仕組みの整備」を盛り込み、6月に閣議決定され、消費者庁は「来年度実施に向け、制度設計中」(担当者)です。

財産にも被害が

 同会議の答申に対し、「断固反対」の意見書を提出したのは主婦連合会です。事務局長の佐野真理子さんは「この規制緩和は、消費者にとっては安全性や有効性が後退するだけ」と指摘します。各地の消費生活センターに寄せられた健康食品に関する相談は、約1万2千件(2011年度)、この5年間で7万件以上にのぼります。佐野さんは「健康被害と財産被害、それらが重複した被害が続いています。実態を見れば、新たな規制策の導入こそ必要です」。

 「解禁」のモデルは米国です。1994年、企業が科学的根拠を示せば表示ができる制度をつくりました。健康食品に詳しいサイエンスライターの植田武智さんは言います。

 「米国では表示の信ぴょう性が揺らぎ、健康被害も増えています。こうした規制緩和のマイナス面が議論されないまま突き進むのはあまりに乱暴です」

余計な成分、体に負担

 群馬大学教授(農学博士) 高橋久仁子さんの話

 「自らの健康を自ら守る」には、運動・休養・栄養です。それでも不調があるならば医療の力を借りましょう。今回の事態は、あたかも「健康食品」で健康が買えるかのような幻想を振りまき、国民を「健康食品」探しに走らせ、健康維持を誤った方向に導くものです。いったい誰のための規制緩和なのかと言いたいですね。

 「食品だから安全」に根拠はありません。食品やその成分であっても、ベータカロテンやアマメシバなどは大量に摂取すると有害作用が起こることは知られています。「気休めだから」ともいえません。余計な成分をとってしまい、その処理のために体に負担をかけてしまう場合もあるのです。


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