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2013年8月16日(金)

エジプト 強制排除めぐり対立

政権側 治安回復で介入

同胞団 反対の声“圧殺”

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 【カイロ=小泉大介】エジプト治安部隊が14日に行ったイスラム主義組織・ムスリム同胞団の座り込み強制排除に関し、暫定政権側と同胞団側の主張は真っ向から対立したままです。双方の出方次第では、衝突と混乱の事態が長期化する可能性も出ています。


 暫定政権のベブラウィ首相は同日夜のテレビ演説で「同胞団の抗議のやり方は国家として受け入れられないレベルに達していた。治安の回復のために介入せざるを得なかった」と強制排除を正当化。警察を管轄するイブラヒム内相も同日、「政治的解決の機会を同胞団が拒絶した」「(座り込みは)暴力を扇動し、拷問や殺人を行い、国家の治安への脅威となっていた」などと表明しました。

 これに対し同胞団側は強制排除は「虐殺」であり、「(モルシ前大統領解任の)クーデターに反対する声を押しつぶすためのものだった」(報道官)と主張。同胞団傘下の「自由公正党」のエリアン副党首は「多数の同胞が殺されてもわれわれの決意が揺らぐことはない」と述べ、今後もモルシ氏の復職を求める座り込みやデモを継続するよう支持者に訴えました。

 政府系紙アルアハラムなど地元メディアの多くは、強制排除で治安部隊と同胞団の双方が実弾を使用したと伝えています。

 今後のエジプト情勢をめぐっては、暫定政権が14日午後に発令した非常事態令についてメディアなどで警戒する声も出ています。

 大統領府は同令について、「治安と秩序を維持し、市民の生命と公共・民間の財産を守るため、軍が警察とともに必要なあらゆる手段を取ることを可能にするもの」だと説明しています。

 非常事態令はエジプトでは、2011年はじめの「革命」で30年間つづいたムバラク独裁体制が崩壊するまで、集会やデモを禁止したり、令状なしに野党勢力や市民を拘束したりする根拠となり、同体制存続の“支柱”ともいえる役割を果たしてきました。

 地元紙アルマスリ・アルヨウム14日付(電子版)は今回の発令について「多くのエジプト人が、自由に対する新たな抑圧、与党勢力弾圧の正当化に結びつくのではないかとの懸念を表明している」としました。


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