2013年8月16日(金)
エジプト 死者525人に
暫定政権、非常事態令を発布
【カイロ=小泉大介】エジプト治安当局が14日に実施したイスラム主義組織・ムスリム同胞団の座り込み強制排除は、全土で抗議の暴動を引き起こし、保健省などによると排除・衝突による死者は、15日午前までに警官を含む525人に達しました。暫定政権は14日、非常事態令を発し混乱を収拾する姿勢を示しましたが、政権内でも強制排除を批判する動きが表面化するなど、今後の民主化プロセスの行方は予断を許さない状況となっています。
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軍により解任されたモルシ前大統領の復職を求めて首都カイロ2カ所で行われていたムスリム同胞団の座り込みは、治安部隊により14日夜までにほぼ制圧されました。一方、強制排除をうけ、同胞団やその支持者は全土で抗議デモを実施。一部が暴徒化し、警察署やキリスト教会などを次々と襲撃したため、治安部隊との衝突が拡大しました。
政権側は14日午後、全土に1カ月間の非常事態令を敷き、午後7時から午前6時までの夜間外出禁止令をカイロはじめ14県に発令しました。憲法改正や国会・大統領選挙など今後の政治プロセスは計画通り進めるとしています。
しかし、エルバラダイ副大統領(前国際原子力機関事務局長)は14日、治安当局による強制排除について「平和的な解決策があったはずだ」と抗議して辞任を表明。欧米をはじめとする国際社会の多くも非難する態度を見せています。