2013年8月14日(水)
続・アベノミクス もうけるのは誰
株式売る大株主
優遇税制目当ても
株を売って利益をあげたのは、楽天の三木谷氏や光通信の重田氏だけではありません。「アベノミクス」による株高で資産を増やした大企業の経営者や創業者の大株主の中には、保有株式の一部を売却する動きが目立ちます。株式会社の発行株式総数の5%以上を保有する株主が、1%以上の売却をした場合には、金融庁に「大量保有報告書」を提出しなければなりませんが、その報告書に表れた主な事例だけでも、別表のようになっています。
いずれの会社の株価も昨年末以降上昇しており、これらの株主の含み資産額は大きく増えています。そして、この株の一部を売却することによって、巨額の利益を手にしているのです。
もっとも、セガサミーの里見治氏の場合には、売却といっても他人に売ったわけではなく、里見氏が出資者である「HSCompany」という資産管理会社に売却したもので、実質的には資産の名義の書き換えにすぎません。なぜ、こんなことをするのか報告書には書かれていませんが、おそらく証券優遇税制の関係でしょう。実際には、資産管理会社への移動にすぎなくても、税法上は「譲渡」とみなされ、譲渡所得が発生し、所得税・住民税が課税されます。
里見氏の過去の報告書から計算すると、売却した株式の取得原価は130億円程度と推計されますので、50億円近い譲渡所得が発生します。今年中なら証券優遇税制が適用され、本来20%の税率が10%に軽減されます。優遇税制が切れてから売却するより、税金が5億円も安く済むのです。他の株主が売却を急ぐのも、優遇税制の期限を意識していることは間違いないでしょう。
(日本共産党政策委員会 垣内亮)
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