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2013年8月14日(水)

集団的自衛権容認に向けた法制局人事

地方紙から批判相次ぐ

「法治主義揺らぐ」「あまりに強引」

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 安倍晋三首相が集団的自衛権行使を憲法解釈の変更で容認しようと内閣法制局長官に容認派とされる小松一郎駐仏大使を充てた人事に対し地方紙から批判が相次いでいます。

 集団的自衛権は、自国が直接攻撃を受けていなくても、他国と一緒に武力攻撃する口実に使われてきたもの。海外での武力行使を可能にします。そのため歴代政府は憲法9条の許容する自衛のための必要最小限の武力行使の枠を超えるとして、その行使は許されないとしてきました。

共同行動に道

 宮崎日日新聞は11日付の社説で、小松氏の人事について「安倍晋三首相は集団的自衛権の行使容認、つまり米国との『共同行動』に道を開きたいようだ」としました。その上で、「憲法解釈を容易に覆せるのなら、法治主義、議会制民主主義の根幹が揺らいでしまう」「集団的自衛権の行使は、同盟国と一緒に海外での戦闘に参加することが本質だ」と批判します。

 沖縄タイムスも10日付の社説で小松氏の人事について「集団的自衛権の行使容認に意欲をみせる安倍晋三首相が、憲法解釈変更に向けて作業を加速させる狙いがあることは、明らかだ」「都合よく組織のトップを切り替える手法は、あまりにも強引だ」と指摘。「歴代の首相や内閣法制局長官らの答弁を積み重ねて構築した憲法解釈が覆されるようなら法治国家とはいえない」と警鐘を鳴らしています。

 「中身の国民的議論が全く不足している中で、平和憲法を変質させることにならないか」。こう論説で書いたのは福井新聞(10日付)。「ハードルが高い憲法改正を回避する形での解釈変更は大きな問題をはらむ。有事の際、日米両国が軍事行動を共にすれば、死傷者が出る恐れもある」「日本はあくまで『平和主義』追求の中心軸であるべきだ」としました。

 愛媛新聞(5日付)も「憲法解釈の変更は踏み越えてはならない一線であり、安易に『決め』てはならない」「過去に日本が積み上げてきた国際的信頼と平和主義は貴重な財産だ。それを崩し、後世に負の歴史として刻まれる愚を犯してはなるまい」としています。

不安定化懸念

 「なし崩し変更許されぬ 集団的自衛権を考える」(東京新聞9日付)「法制局長官交代 容認できぬ強引な手法」(京都新聞9日付)と題した社説を掲載した新聞もあります。

 徳島新聞や山陰中央新報、熊本日日新聞は「憲法解釈の変更は、対中韓関係を一層悪化させる恐れがある。米国はむしろそうした事態を望んでいないのではないか」などと、東アジアの一層の不安定化の懸念を指摘しています。


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