2013年8月14日(水)
きょうの潮流
明るく軽快なメロディーに乗った歌詞に、思わず“おおっ”と、のけぞりかけました。5年ぶりに復活した「国民的バンド」、サザンオールスターズが7日に発売した新曲「ピースとハイライト」です▼「♪何気なく観(み)たニュースで お隣の人が怒ってた」で始まる曲。ボーカルの桑田佳祐さんがテレビで、「最近の東アジアをみてつくった」と話していました。「お隣」とは中国や韓国などのこと。本人いわく「相手のことを理解して、自分たちのことも伝えて…。二度と過去の過ちを繰り返さないようにとの思いで」と気負いなく▼日本と東アジアのいまを憂えつつ、歌詞は続きます。「♪歴史を照らし合わせて 助けあえたらいいじゃない 硬い拳を振り上げても 心開かない」▼歴史認識や領土問題、靖国参拝など日本の政治の右傾化が、東アジアの対立に拍車をかけています。安倍内閣は自分でつくりだしたといってもいい緊張状態を理由に、憲法9条を踏みにじり、集団的自衛権の行使にまでつき進もうとしています。「硬い拳」をさらに高く振り上げるかのように▼桑田さんは呼びかけます。「♪希望の苗を植えていこうよ 地上に愛を育てようよ」。ミュージシャンとしての確かな感性、自らが信じる言葉で「平和への思い」を投げかけます。日本やアジアの人々の心にどう届くのか▼歌は時代を映すだけではありません。人々の心を動かし、社会をも動かす。この勇気をくれるメッセージソングも、その一つになる。きっと。